アフガン駐留米兵による民間人殺害事件を描く戦争スリラー映画『The Kill Team』

ミリタリーブログサポートチーム

2019年08月19日 10:13

2010年に起きたアフガン駐留米軍の兵士による現地民間人殺害事件に基づいた戦争スリラー映画『The Kill Team』の海外版オフィシャルトレーラーが公開された。

本作の題材となった事件とは、アフガニスタンに駐留する米陸軍第2歩兵師団第5ストライカー旅団の兵士数名が、2010年1月から5月の間にアフガニスタンの民間人を任務中に計3人殺害したものである。最初の事件現場に居合わせた新兵のアダム・ウィンフィールドは、犯行を黙認するように同僚から脅迫を受けていたが、2月になりネットを介して米本国にいる父親に事の経過を打ち明け、父親が陸軍へ事件を告発した。しかし状況は進展せず、さらに2人が殺害された。その後、同部隊で行われた薬物検査を切っ掛けに事件が発覚し、同年秋にアダム・ウィンフィールドを含む5人の兵士が逮捕され殺人罪などで軍法会議にかけられた。被告人らはそれぞれ異なった証言をしていたが、アダム・ウィンフィールドを除く3人が有罪となり、そのうちチームリーダーのカルビン・ギブス軍曹には終身刑が言い渡された。ギブス軍曹は遺体の指を戦利品として切断し取集していたとのこと。

2011年3月には、ドイツの週刊誌:デア・シュピーゲルが、アフガン駐留米軍兵士による民間人殺害疑惑の記事と共に、米兵が殺害遺体の頭を引き上げて記念撮影した写真(計3枚)を掲載し、その衝撃的な内容に当時話題となった。

本作で監督・脚本を務めたダン・クラウス(Dan Krauss)は、2013年に同事件を題材としたドキュメンタリー版の映画「The Kill Team」(本作と同タイトル)を手掛け、トライベッカ映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞している。クラウス監督はドキュメンタリー作品を多く手掛けており、2016年日本公開の「最期の祈り」は第89回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされている。

参考動画:ドキュメンタリー版の映画「The Kill Team」オフィシャルトレーラー

出演は、Netflix版「デスノート」で主人公ライトを演じたナット・ウルフ、ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」でエミー賞助演男優賞とゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しているスウェーデン出身のアレクサンダー・スカルスガルド、「ダンケルク」に出演したイギリス出身のアダム・ロング、ジョナサン・ホワイトセル、ブライアン・マークなど。尚、本作の登場人物は実際とは異なる名前に設定されている。

10月25日にアメリカでの劇場公開とオンデマンド配信を予定している。日本公開は現在未定である。

Text: 弓削島一樹 - FM201908
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