「FN F2000は世界最低で最も愛すべき自動小銃」著名YouTubeレビュアーが語る

ミリタリーブログサポートチーム

2019年09月11日 11:28


Image from MAC YouTube Channel
「どの自動小銃が最良なのか?」という話題と同じくらい盛り上がるのが「どれが最悪なのか」という問いであるが、軍用(と、その民間モデル)の小火器をYouTubeでレビューしている「Military Arms Channel(MAC)」によれば「FN F2000が最悪」なのだという。

FN F2000は、ベルギーのFN社が2001年に開発したブルパップ方式の自動小銃。空薬莢が周囲に悪影響を与えない前方排莢のシステムや、内部・外見ともに樹脂が多用された軽量な本体などが特徴的である。拡張性についても考慮されており、グレネードランチャーなどのモジュールを取り付けることもできる。メカニズムは閉鎖性が高められており、異物による故障も少ない。

こうしたコンセプトは先進的で優秀ではあるのだが、実装に問題が多い。MACはF2000の民間バージョン、FS2000を使って説明している。
まずやり玉に挙げられたのが標準の1.5倍の光学式サイト。まるで空気銃用の安物のスコープのような貧弱さで固定も甘い。レイルはピカティニー規格に見えるが独自サイズのもので、照準器の交換も難しい。

Image from MAC YouTube Channel

レティクルの画像。特に光ったりしない、オーソドックスなレティクルである。

Image from MAC YouTube Channel

ポリマー製のコッキングハンドル。弾倉が空になってもボルトは後方でロックしないので、自力でハンドルを下げてオープンさせる必要がある。なお、いわゆる「HKスラップ」で叩き落とすと、強度が不足しているため折れる。

Image from MAC YouTube Channel

閉鎖性が高い分、機関部分へのアクセスは難しい。ジャムやダブルフィードといったトラブルが発生した際、現代的な故障排除の技術は適用しにくい。また、射撃時に頬付けしていると、ヒゲがフタに挟まってしまうという。

Image from MAC YouTube Channel

ポリマー部品は軽量化に貢献しているが、その数はあまりにも多く、またクリティカルな部分にも使用されていることから、強度・性能に不安があるところではある。

Image from MAC YouTube Channel

軍用バージョンではスリングスイベルの位置も問題である。右利きの場合、ガスポートの上にスリングが回り込むので、吹き抜ける高温高速のガスによってナイロンスリングがダメージを受ける。

Image from MAC YouTube Channel

樹脂製の照準器カバーにはバックアップアイアンサイトが成形されているが、実使用には耐えない。

Image from MAC YouTube Channel

なお、これらの欠点はモデルチェンジされたF2000 タクティカルで大幅に改善されている。アクセサリレイルは標準的なピカティニー規格になり、アイアンサイトもまともなデザインのものになった。

Image from MAC YouTube Channel

スリングスイベルはアイレット(小穴)式になり、金具を介して装着するように改められた。

Image from MAC YouTube Channel

MACでは「なぜ、これを採用する軍があるのか理解できない。イギリスのSA80やフランスのFA-MASはアメリカでは入手が難しくテストできておらず、これらを含めれば評価は変わるかもしれないが、私にとって世界最悪の軍用小銃はこのFS2000だ」と酷評している。

動画はこちらから。
The worst modern military service rifle that I love to shoot - FS2000 - YouTube

しかし酷評するとともに「最も愛すべき自動小銃もFS2000だと思っている。デザインは先進的でメカニズムも実にユニークだ。撃っていてまったく飽きない」と評価もしている。

確かに性能面や、採用実績(スロベニア、サウジアラビアなど)を見る限りではイマイチな小銃かもしれないが、明らかに未来志向の意欲的な設計は面白い。このすぐ後に作られたSCARにも影響は少なからず与えており、コレクションとしてこれほど所有欲を満たす小銃もないのではないだろうか。

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201909
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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