床井雅美著、拳銃弾薬 270 種を収録する世界で唯一の弾薬事典が 1 月に発売
銃器研究における第一人者、床井雅美氏によるピストル弾薬解説事典が、並木書房より 2016 年 1 月 7 日に発売される。
本書は、拳銃弾薬 270 種を収録する世界で唯一の弾薬事典。1,300 点以上の写真と図版で詳解しており、銃の入門者から専門家まで常備したいリファレンスブックとなっている。価格は 3,900 円+消費税。
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本書はピストルで使用される弾薬を識別するためのリファレンス・ブック(識別書)として企画した。
ピストルや弾薬は一般社会になじみがあると言いがたい。とくに弾薬は、各部分の名称が、自衛隊や警察などの公官庁、狩猟などのスポーツで使用する人々、そして民間の専門誌などでそれぞれ異なって表記されている。
本書が取り扱った小火器で使用する弾薬(正確には小火器弾薬)本体ですら、銃弾、実包、装弾、カートリッジ(Cartridge)、アムニッション(Ammuntion)、アモ(Ammo)などのさまざまな名称で呼ばれている。
そこで、本書が記述に用いた名称についてはじめに説明しておきたい。
本書では、弾全体を「弾薬」と呼ぶことにした。弾丸を装填していない空包や発射薬を装填していない模擬弾は、それぞれ弾丸や発射薬などが欠けており、正確に弾薬と呼びがたいものの本書では弾薬と記述した。
広義での弾薬は、軍事用語で火薬を利用する武器全体のことを表わす。もともと弾薬は、小火器で使用する銃弾や火砲で使用する砲弾だけでなく、爆弾やミサイル、ロケットや地雷などを含む武器を表わす用語だ。
本書の中で弾薬は、広義の弾薬ではなく、小火器で用いる銃弾、あるいは小火器弾薬を表わすこととする。
本来、弾薬は銃砲の性能を決定づけるもっと重要な要素である。だが、昔から人々の注目は、銃砲の本質的な性能を決定する弾薬ではなく、これを使用する銃砲に向かいがちだ。
この傾向は日本に限らず世界的に言える。そのため、弾薬に関する言葉の混乱は日本に限ったことではない。銃砲が日本よりはるかに一般化している英語圏でも、弾薬の呼称は一定でなく、前述したように、カートリッジ、アムニッション、アモなどいくつもの用語が使用されている。さらに小火器の弾薬の中で、バラ弾の散弾を装填した弾薬は、シェル、ショットなどの名称で区別されることが多い。
弾全体の呼称すら一定でないことからわかるように、弾薬を構成する各部品や部分の呼称も一定でない。
本書は、弾全体を弾薬、射出される飛翔体を弾丸とした。弾丸を射出するための高圧ガスを発生させる火薬を発射薬、この発射薬を収納し、弾丸と一体化させる金属製のカップ状部分を薬莢(カートリッジ・ケース)とした。ファイアリング・ピン(撃針)の衝撃によって発火し、薬莢内部の発射薬に引火させて高圧ガスを発生させる部品をプライマー(雷管)と記述する。これらの部分名称については、「弾薬の構造」の項で詳しく後述する。
多くの場合、プライマー(雷管)は、薬莢の後端面の中央部分に装備されている(センターファイアー)。それに対してリムファイアーと呼ばれる弾薬の着火装置は、薬莢後端の周囲が利用されている。
また、旧型のピンファイアー弾薬は、プライマー(雷管)が薬莢底部に内蔵され、ファイアリング・ピン(撃針)を装備している。
これらの弾薬の各部分のさらに細かい構造については、後述の「弾薬の発展史」および「弾薬の構造」の項で解説したので参照されたい。
弾薬は、弾丸、発射薬、着火装置を薬莢によって一体化させたもので、銃砲に装填すればそのままで射撃できる性能を備えている。
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