軍隊並みの重武装化を進める米国の警察機構を追ったドキュメンタリー映画「Do Not Resist」
2001年アメリカ同時多発テロ事件以降、軍隊並みの重武装化を進めるアメリカ警察機構の現状と裏側を追ったドキュメンタリー映画『Do Not Resist』のトレーラーが公開中である。
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本作は、今年春に開催されたトライベッカ映画祭(Tribeca Film Festival)において、ワールド・ドキュメンタリー・コンペティション部門(WORLD DOCUMENTARY COMPETITION CATEGORIES)で長編ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature)を受賞している。同映画祭は、アメリカ同時多発テロ事件を機にニューヨーク市の復興を願い2002年から同市トライベッカで毎年開催されている。
監督は、本作が初監督作品となるクレイグ・アトキンソン(Craig Atkinson)。映画やテレビのドキュメンタリー作品に多く携わっており、プロデューサーと撮影監督を務めたドキュメンタリー映画「Detroit」は、失業率と貧困率が高い米ミシガン州デトロイト市の衰退し続ける経済に焦点をあてた作品で、2012年サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でUS編集賞(U.S. Documentary Editing Award)を受賞している。
2年以上に渡り米11州約20の警察機関へ赴き、マイケル・ブラウン射殺事件を発端とした暴動騒ぎ、キャピトル・ヒル発砲事件、SWAT の競技会や突入現場、ニューハンプシャー州の町議会で行われた“米国土安全保障の補助金25万ドルを用いて装甲車購入の賛否を問う投票”、連邦政府の公聴会、“正義の暴力”を指教する警察研修セミナー、警察が運用するドローンを用いた大規模な空中監視システムなどをカメラで捉えながらながら、装備調達資金の流れや捜査令状発行の裏側などにも迫っている。
また、父親が所属していた SWAT チームは、13 年間で発行された捜索令状が 29 回だったのに対し、撮影対象となったチームは年 200 回以上であったことにも驚いている。これを全米規模で見積もると年間で 50,000 ~ 80,000 回の突入が行われていることになるが、対テロ目的の重武装でありながら撮影期間中に国内テロで使用されたことは一度も無く、その殆んどがドラッグ絡みの小規模な現場での使用だったことに疑問を呈している。
監督は、“米警察機関の現状が映し出された本作を、もしも父親が観たら…彼は苦しむことだろう。人生を捧げた仕事が、得体の知れない何かに進化したのだから。”といった旨のコメントをオフィシャルサイトに記している。
上映は世界各地の映画祭で行われており、一般上映は現在未定である。
Text: 弓削島一樹 - FM201611
監督は、本作が初監督作品となるクレイグ・アトキンソン(Craig Atkinson)。映画やテレビのドキュメンタリー作品に多く携わっており、プロデューサーと撮影監督を務めたドキュメンタリー映画「Detroit」は、失業率と貧困率が高い米ミシガン州デトロイト市の衰退し続ける経済に焦点をあてた作品で、2012年サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でUS編集賞(U.S. Documentary Editing Award)を受賞している。
本作は、ボストンマラソン爆弾テロ事件の現場に駆けつけた重武装警官と装甲車両などを見た監督が、その物々しい様相に違和感を覚えたことで映画製作に取り掛かった。
Photo: Courtesy of VANISH Films.
2年以上に渡り米11州約20の警察機関へ赴き、マイケル・ブラウン射殺事件を発端とした暴動騒ぎ、キャピトル・ヒル発砲事件、SWAT の競技会や突入現場、ニューハンプシャー州の町議会で行われた“米国土安全保障の補助金25万ドルを用いて装甲車購入の賛否を問う投票”、連邦政府の公聴会、“正義の暴力”を指教する警察研修セミナー、警察が運用するドローンを用いた大規模な空中監視システムなどをカメラで捉えながらながら、装備調達資金の流れや捜査令状発行の裏側などにも迫っている。
監督の父親はデトロイト警察で29年間務め、2002年に引退するまでの13年間を SWAT 隊員として従事していた。監督が若い頃、兄と共に父親が所属していた SWAT チームの訓練に人質役として参加した経験があり、本作の撮影現場で現在の SWAT の重武装を目にし昔とのギャップに驚嘆したようだ。
Photo: Courtesy of VANISH Films.
また、父親が所属していた SWAT チームは、13 年間で発行された捜索令状が 29 回だったのに対し、撮影対象となったチームは年 200 回以上であったことにも驚いている。これを全米規模で見積もると年間で 50,000 ~ 80,000 回の突入が行われていることになるが、対テロ目的の重武装でありながら撮影期間中に国内テロで使用されたことは一度も無く、その殆んどがドラッグ絡みの小規模な現場での使用だったことに疑問を呈している。
監督は、“米警察機関の現状が映し出された本作を、もしも父親が観たら…彼は苦しむことだろう。人生を捧げた仕事が、得体の知れない何かに進化したのだから。”といった旨のコメントをオフィシャルサイトに記している。
上映は世界各地の映画祭で行われており、一般上映は現在未定である。
Text: 弓削島一樹 - FM201611
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