透明の薄膜導電層をレンズに仕込んだABOM社のKLAIR特許技術ゴーグルは寒冷地でも曇り知らず
「冬の寒い日に、電車に乗り込むと同時にメガネが曇った」「アイウェアを付けた状態でマスクを掛けたら曇った」…といったことは誰しもが一度は経験したことがあるはず。
Photo from ABOM, Inc.
これら曇りの原因は「結露」と呼ばれる現象により発生している。一旦曇るとその除去は煩わしさを伴うばかりか、視界不良は兵士の活動を大きく妨げ、時として生命を脅かすことさえもある。
結露は、体温で温かくなったゴーグル内側の気体に含まれる水分が、冷たい外気に晒されることでその「飽和水蒸気量」を超えてしまい発生する。それを逆手に取れば、温度差を埋めることが飽和水蒸気量に変化を生まず、結果的に結露の発生を防ぐことに繋がる。
オレゴン州タイガードに本社を構え、スキー用ゴーグルの開発をおこなっているABOM社では、そんな悩みを一掃する軍用ゴーグル「寒冷モビリティーゴーグル(Cold Weather Mobility (CWM) Goggles)」の開発を手掛けている。
Photo from ABOM, Inc.
同社が特許を持つ「KLAIR」技術は、2枚の耐擦傷コーティングされたポリカーボネートレンズの間に薄膜透明導電層を挟んで使用。バッテリーがこの薄膜導電層に電気を送りレンズを温めることで不快な曇りを除去するというもの。同社は「これまで(世に出た同様)のゴーグル製品の中で最も強力且つ快適であり効果的な技術だ」と自負している。
カールツァイス(Carl Zeiss)バリスティック・レンズを採用し、高い耐衝撃性能と優れた光学品質を持ち合わせている。また低照明下を想定したクリアレンズと、日中の強い日差しが注ぐ中での活動にも対応するスモークグレイカラーのレンズが用意され、幅広く利用できる。
Photo from ABOM, Inc.
周辺視野(Peripheral Vision)を十分に確保した設計となっており、防曇(ぼうどん)効果の要(かなめ)となっているヒートインナーは、レンズ全体に渡って広がり、心配されたIR検出についても、顔表面の温度よりも低い状態となっている。
大手軍事情報サイト「ミリタリータイムズ」によると、「ABOM社は、特殊作戦部隊産業会議(SOFIC: Special Operations Forces Industry Conference)で湿度センサーと防曇用ヒーターを備え、必要に応じて/常時駆動の二択式となったゴーグルを展示した」「ABOM社はゴーグル開発に当たって軍特殊作戦司令部(SOCOM)から中小企業技術革新制度(SBIR)を通じて資金提供を受けている」「同社のジャック・コーネリアスCEO曰く、寒冷試験のため陸軍第10山岳師団が本拠地としているニューヨーク州フォートドラムにこのゴーグルが持ち込んでおり、極寒のアラスカ訓練において使用されている」と明かしている。
Photo from 10th Mountain Division
This photo is for illustrative purposes only.
またタイムズは、「ABOM社はマサチューセッツ州ネイティックの陸軍兵士研究開発工学センター(NSRDEC: Army Natick Soldier Research, Development and Engineering Center)に対して更なる評価試験のためにゴーグルの提供をおこなっている」とも示している。
Source: This tech might fix a deadly problem troops face when strapping on goggles
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