米陸軍が極寒地に展開する兵士に向けて暖かく快適な被服を開発中
アメリカ化学会(ACS: American Chemical Society)が、兵士の被服に用いることを目的に、マサチューセッツ州ネイティックの兵士研究開発工学センター(NSRDEC: Army Natick Soldier Research, Development and Engineering Center)による「極寒地でも暖かく速乾性のある快適なファブリック」の取り組みを紹介している。
Photo by Spc. Samantha Magers
This photo is for illustrative purposes only.
■銀ナノワイヤーコーティングによる発熱繊維
ここでは現在、極寒地で兵士の身を寒さから護る為、「銀ナノワイヤー」コーティングが施された加熱繊維を開発している。連続した導電性ネットワークを形成するため、ナノワイヤの溶液堆積によって様々な種類のファブリックにコーティングする方法が見付かっているようだ。これにより、コーティング済ファブリックの一端を印加する(電圧を加える)ことで、ファブリック全体が数秒で発熱するという。
シルバーコーティングによるレイヤー(層)は、僅か100ナノメートル(=1メートルの10億分の1)。その為、コーティングによる重量増加は全く無視できるものとなる。印加の際に必要な電源については、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームの協力を仰ぎ、重量負荷を出さないよう開発する。同研究チームはこれまでに髪の毛よりも薄く、柔軟性と伸縮性を持ち合わせたバッテリーの開発に成功しており、その技術を今回のプロジェクトに活かす考えだ。
まずはグローブでの利用を見据えており、-40度の極寒地であっても、僅か数秒で兵士の指先までも温めたいとしている。
関連記事:
⇒発熱する電子繊維で兵士が快適になる?米大学と陸軍研究機関が開発中
■発汗時の水分を吸水する再利用可能なヒドロゲル
極寒地で展開する兵士は、その厳しい寒さに対応するため、非常に多くの被服着用が必須となる。しかし一方で、シャツの袖や襟のような場所では汗が溜まってしまい、時としてそれらが凍り付いてしまうことも出てくる。
そこで研究チームでは、こうした発汗時に発生した水分を高分子ヒドロゲルを使って吸収させることを提案しており、被服をドライで快適な状態に保たせようとしている。吸水したヒドロゲルは、兵士が駐屯地に戻った際に乾燥させることで再利用が可能とのこと。
■液晶ディスプレイの原理を利用した気温に応じて変化する特殊ファブリック
また、液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)の原理を利用した「温度変化を検出しそれに応答する特殊繊維」の開発も進めている。液晶分子は温度に応じてその構造や配列を変化させる特性を持つ。この発想を機能繊維に落とし込み統合化を図ることで、被服が温度変化に対応し、例えば寒冷地では繊維表面を閉じて保温に努め、逆に温暖地ではオープンになることで通気性を図り冷却・乾燥効果を見込むといった応用を目指している。
以上ここで紹介された3種類の取り組みは、いずれもまだ布切れ一枚レベルのサイズで開発を進めているとのこと。いずれはアラスカなどで展開する兵士らの協力を得て、フィードバックを受けながら実用レベルに落とし込む計画としている。そのスケジュール感については、10年、15年といったレベルではなく、数年以内の計画にあると言い、取り急ぎ特殊部隊用に銀ナノワイヤーコーティングされたグローブの支給が始まる見込みとしている。
ここでは現在、極寒地で兵士の身を寒さから護る為、「銀ナノワイヤー」コーティングが施された加熱繊維を開発している。連続した導電性ネットワークを形成するため、ナノワイヤの溶液堆積によって様々な種類のファブリックにコーティングする方法が見付かっているようだ。これにより、コーティング済ファブリックの一端を印加する(電圧を加える)ことで、ファブリック全体が数秒で発熱するという。
シルバーコーティングによるレイヤー(層)は、僅か100ナノメートル(=1メートルの10億分の1)。その為、コーティングによる重量増加は全く無視できるものとなる。印加の際に必要な電源については、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームの協力を仰ぎ、重量負荷を出さないよう開発する。同研究チームはこれまでに髪の毛よりも薄く、柔軟性と伸縮性を持ち合わせたバッテリーの開発に成功しており、その技術を今回のプロジェクトに活かす考えだ。
まずはグローブでの利用を見据えており、-40度の極寒地であっても、僅か数秒で兵士の指先までも温めたいとしている。
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■発汗時の水分を吸水する再利用可能なヒドロゲル
極寒地で展開する兵士は、その厳しい寒さに対応するため、非常に多くの被服着用が必須となる。しかし一方で、シャツの袖や襟のような場所では汗が溜まってしまい、時としてそれらが凍り付いてしまうことも出てくる。
そこで研究チームでは、こうした発汗時に発生した水分を高分子ヒドロゲルを使って吸収させることを提案しており、被服をドライで快適な状態に保たせようとしている。吸水したヒドロゲルは、兵士が駐屯地に戻った際に乾燥させることで再利用が可能とのこと。
■液晶ディスプレイの原理を利用した気温に応じて変化する特殊ファブリック
また、液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)の原理を利用した「温度変化を検出しそれに応答する特殊繊維」の開発も進めている。液晶分子は温度に応じてその構造や配列を変化させる特性を持つ。この発想を機能繊維に落とし込み統合化を図ることで、被服が温度変化に対応し、例えば寒冷地では繊維表面を閉じて保温に努め、逆に温暖地ではオープンになることで通気性を図り冷却・乾燥効果を見込むといった応用を目指している。
以上ここで紹介された3種類の取り組みは、いずれもまだ布切れ一枚レベルのサイズで開発を進めているとのこと。いずれはアラスカなどで展開する兵士らの協力を得て、フィードバックを受けながら実用レベルに落とし込む計画としている。そのスケジュール感については、10年、15年といったレベルではなく、数年以内の計画にあると言い、取り急ぎ特殊部隊用に銀ナノワイヤーコーティングされたグローブの支給が始まる見込みとしている。
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