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「テーザー銃を導入しても火器の使用件数は減らない」シカゴ大学の研究者が発表

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「テーザー銃を導入しても火器の使用件数は減らない」シカゴ大学の研究者が発表
U.S. Air Force photo/ Airman 1st Class Greg Erwin
This photo is for illustration purposes only.
圧縮窒素ガスで電極を飛ばし、突き刺さった相手の行動能力を高電圧によって奪う「テーザー銃(taser gun)」は、銃などと比べて「ノンリーサル(非致死的)」で安全であり、犯罪者や周囲の市民へのダメージが少ない、というのが通説である。しかし、テーザー銃が普及しても、火器の使用件数は減少していないことが、シカゴ大学の研究者によって明らかになった。
シカゴ大学のジェフリー・グルッガー教授らが先日発表した論文では、2010年からのシカゴ市警のデータを用い、テーザーの普及とその影響について検証した。その結果、確かに警官の受傷数、実力行使の件数は減少したが、容疑者やその他市民の受傷数や事件あたりの受傷率に変化は見られず、銃の使用件数についても改善は見られなかった。

「実力行使」は相手を抑えるなどの軽度のものから、蹴りや殴打など致死性ではないものの負傷の危険があるものまで様々である。テーザーはこれらの比較的軽微な実力行使を置き換える形で使用数が伸びている。しかし銃の使用を置き換えることはできていない。こうした状況では、相手が銃を抜くまでにエスカレートさせない、実力行使を前提としない執行手続きの教育が必要になる。

テーザーを使用したところで負傷を避けられるわけではない。転倒による負傷は多く、心臓疾患を抱えた者に対して使用すれば死亡のリスクもある。また非常階段から逃げようとした容疑者をテーザーで撃ち、転落死させたというケースもある。ノンリーサルであるという印象から現場の人間がテーザーを過信しているのが実情のようだ。

Source: The Introduction of Tasers and Police Use of Force: Evidence from the Chicago Police Department
How Safe Are TASER Weapons? - Axon
US DOJ "Investigation of the Chicago Police Department" January 13, 2017

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201803
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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