NEWS

アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」

海外軍事 Comments(0)
アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」
U.S. Army Photos by Angie DePuydt
銃や弾丸や照準器の性能が向上しても、射手の体は呼吸や脈拍、筋肉の緊張などによって容易に揺れてしまうので命中率を下げてしまう。アメリカ陸軍ARDEC(火器研究開発センター)は、この揺れを吸収するべく手ブレ補正システム「Aimlock」を開発中だ。
RDECOM(陸軍研究開発コマンド)が主導する「Aimlock」は先進小火器小部隊技術研究プログラム(ASUSAT)から生まれたもの。小火器の命中率と有効射程を向上させ個人・小チームの戦闘力をあげるべく、2012年からRocky Mountain Scientific Labと共同で開発とテストが繰り返されている。

「Aimlock」は機関部を収めたキャリッジにグリップと照準器を装着したもので構成されている。キャリッジ内の機関部は電磁アクチュエータを介して取り付けられており、射手の体と機関部はつながっていないフリーフロートな状態である。これによって射撃時の1.5ヘルツの程度の人体の揺れをアクチュエータで吸収し、さらに照準器の表示も補正するのが、システムの仕組みである。
アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」
Photo: Joint Service Small Arms Program (JSSAP)

初期のプロトタイプ。機関部が樹脂のキャリッジで覆われている。
アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」
Photo: Joint Service Small Arms Program (JSSAP)

アクチュエータが取り付けられた機関部
アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」
Photo: Joint Service Small Arms Program (JSSAP)

現行の開発フェーズIIIのプロトタイプ。射手は機関部に直接触れず、プラットフォームを持っているところに注目。照準器は風速・気温等の環境情報を表示する他、優先ターゲットの指示や顔認識の結果なども表示させることができる。
アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」
U.S. Army Photos by Angie DePuydt

こうした手ブレ補正システムは「Trackingpoint」システムがあるが、あちらがトリガータイミングを自動にすることで手ブレの影響を排除しているのに対し、Aimlockでは機関部全体をフロートさせてこれを実現している。このためトリガーを待たずとも射手が撃ちたいタイミングで自由に発砲できる。実験の結果では、立射・伏射とも射撃精度と照準速度の向上がみられたとのこと。また、歩きながら、車両に乗りながらの射撃でも高い命中精度が得られたとのことだ。

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201610
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


同じカテゴリー(海外軍事)の記事画像
DJI Mavic3カタログスペック解説 Cineモデルとの違いとは?
【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?
ドローンがウクライナ侵攻で果たす役割とは
アメリカがウクライナに10Km先のターゲットを狙えるUAVを供給か
ドイツ企業が新型の空挺装甲車の開発を開始
ロシアの2つの艦艇向け新型対空防御システム
同じカテゴリー(海外軍事)の記事
 DJI Mavic3カタログスペック解説 Cineモデルとの違いとは? (2022-06-07 14:29)
 【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ? (2022-05-05 19:21)
 ドローンがウクライナ侵攻で果たす役割とは (2022-04-08 16:46)
 アメリカがウクライナに10Km先のターゲットを狙えるUAVを供給か (2022-03-26 13:10)
 ドイツ企業が新型の空挺装甲車の開発を開始 (2021-08-08 11:54)
 ロシアの2つの艦艇向け新型対空防御システム (2021-08-06 16:57)
この記事へのコメント
コメントを投稿する

この記事をブックマーク/共有する

この記事をはてなブックマークに追加

新着情報をメールでチェック!

ミリブロNewsの新着エントリーをメールでお届け!メールアドレスを入力するだけで簡単にご登録を頂けます!

[入力例] example@militaryblog.jp
登録の解除は →こちら

PageTop