米陸軍が一般歩兵向けに「つなぎ」で最大5万挺の7.62mm新型小銃を採用へ。その要求仕様が公開
今年4月頃から噂になっていた7.62mmの「過渡的小銃(ICSR……Interim Combat Service Rifle)」の調達について、アメリカ陸軍が要求仕様を公開した。2017年9月6日の締め切りまでメーカーからの応募を受け付ける。購入数は最大5万丁。
Photo By: Master Sgt. Brian Hamilton
This photo is for illustration purposes only.
参考:アメリカ陸軍が「過渡的対応」として7.62mmNATO弾の自動小銃を採用か - ミリブロNews
米軍では現在6.5mm口径の新型弾薬の開発が進んでいる。しかし戦闘距離の遠大化、ボディーアーマーの普及などにより、新型弾薬の開発終了までの「つなぎ」が必要となった。
そうした事情もあり、今回の調達は開発する手間のないCOTS(Commercial Off The Shelf……既に市販されている仕様の製品)から行なわれる。当初、M14やM110SASSなど政府が既に所有している火器(GOTS……Government Off The Shelf )を再整備して用いる計画があったが性能・数量等で満足できるものはなかったようだ。
実際の審査は以下の項目について行われ、総合スコアで競われる。以前、メーカー各社に情報提供を呼びかけた際の想定仕様と比べると、かなり制限が緩和されているように見える。
参考:アメリカ陸軍が7.62mm口径の「過渡的小銃」の情報提供を募集開始 - ミリブロNews
たとえ「つなぎ」といえども、7.62mm口径の小銃を採用するにあたっては批判の声も大きい。基本的には古典的な弾薬で性能は凡庸な上、1発当たりの重量が約2倍……つまり同じ重量なら携行弾数は半分になる。今回の要求では、想定される携行弾数は210発と現行の5.56mmと変わらないため、これは兵士の負担を増加させることになる。
ICSR調達の理由として「ボディーアーマーに対する貫通力の向上」が挙げられているが、7.62mm弾でそれほどの効果が見込めるかも疑問視されている。M80A1弾薬は確かにM855A1弾薬よりも貫通力が強いがその差は交代のコストに見合うものかどうかは議論があるところだろう。実際(価格や調達性からみて現実的ではないものの)タングステン弾頭であれば5.56mm弾でもボディアーマーを貫通できる
以前、マイリー陸軍参謀長が将来の軍備について議会で「より迅速に展開する必要がある一部の歩兵部隊」が「接近戦」でボディアーマーを貫通させるために新型の7.62mm弾薬、おそらくはXM1158 Advanced Armor Penetrating (先進貫通弾……ADVAP)として知られているものを開発したと証言している。こうした小銃以外の構成要素で何らかの革新があったのでなければ、一時的とはいえ7.62mm弾を採用するコストに見合った効果は得られないのではないだろうか。
Source: Interim Combat Service Rifle (ICSR) - Federal Business Opportunities: Opportunities
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201708
そうした事情もあり、今回の調達は開発する手間のないCOTS(Commercial Off The Shelf……既に市販されている仕様の製品)から行なわれる。当初、M14やM110SASSなど政府が既に所有している火器(GOTS……Government Off The Shelf )を再整備して用いる計画があったが性能・数量等で満足できるものはなかったようだ。
要求仕様については、7.62mm×51mm弾薬、特にM80A1弾薬が問題なく使用できセミ/フルオート射撃が可能、サプレッサーを装着できること、というのが最低限のものとして示されている。特にサプレッサーは試験用小銃とセットでの納入が義務付けられている。
Screen shot from PM Soldier Weapons Portfolio
実際の審査は以下の項目について行われ、総合スコアで競われる。以前、メーカー各社に情報提供を呼びかけた際の想定仕様と比べると、かなり制限が緩和されているように見える。
1. 300mでの集弾性
2. 600mでの集弾性
3. 複合照準器の装着可/不可
4. レーザー照準器の装着可/不可
5. 折りたたみ時の全長
6. 重量
7. 300mでの弾速
8. 600mでの弾速
9. コンバットロード210発でのセミオート/フルオート射撃テスト
10. 騒音
11. 発射炎抑制
12. 左右両方向からの操作性
13. アクセサリー用レイルは全周に備わっているか
14. 20~30連弾倉があるか
15. 折りたたみ式アイアンサイトがあるか
参考:アメリカ陸軍が7.62mm口径の「過渡的小銃」の情報提供を募集開始 - ミリブロNews
たとえ「つなぎ」といえども、7.62mm口径の小銃を採用するにあたっては批判の声も大きい。基本的には古典的な弾薬で性能は凡庸な上、1発当たりの重量が約2倍……つまり同じ重量なら携行弾数は半分になる。今回の要求では、想定される携行弾数は210発と現行の5.56mmと変わらないため、これは兵士の負担を増加させることになる。
ICSR調達の理由として「ボディーアーマーに対する貫通力の向上」が挙げられているが、7.62mm弾でそれほどの効果が見込めるかも疑問視されている。M80A1弾薬は確かにM855A1弾薬よりも貫通力が強いがその差は交代のコストに見合うものかどうかは議論があるところだろう。実際(価格や調達性からみて現実的ではないものの)タングステン弾頭であれば5.56mm弾でもボディアーマーを貫通できる
以前、マイリー陸軍参謀長が将来の軍備について議会で「より迅速に展開する必要がある一部の歩兵部隊」が「接近戦」でボディアーマーを貫通させるために新型の7.62mm弾薬、おそらくはXM1158 Advanced Armor Penetrating (先進貫通弾……ADVAP)として知られているものを開発したと証言している。こうした小銃以外の構成要素で何らかの革新があったのでなければ、一時的とはいえ7.62mm弾を採用するコストに見合った効果は得られないのではないだろうか。
Source: Interim Combat Service Rifle (ICSR) - Federal Business Opportunities: Opportunities
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201708
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
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