特集:米軍特殊部隊 ― 空軍特殊部隊 AFSOC 特殊戦術部隊(Special Tactics)編
「地上の問題を空から解決する」……アメリカ空軍特殊部隊第24特殊作戦航空団のWebページでは、この言葉で自らの任務を説明している。20世紀初頭からの航空技術の発達によって軍事作戦の幅は大きく広がった。今回紹介するアメリカ空軍特殊部隊AFSOCは、アメリカ軍の特殊作戦能力を空から支援するプロフェッショナル達である。
関連記事:
⇒特集:米軍特殊部隊 ― アメリカ海兵隊特殊部隊 MARSOC「レイダース」編
AFSOCの任務
1950年、エアデール社という小さな航空会社が生まれた。彼らは中国国内の航空会社を買収し59年にエア・アメリカと改名、東南アジア各国での人員・貨物輸送業務を開始した。
このエア・アメリカはCIAやその他の機関が出資するダミーカンパニーであった。エア・アメリカとその関連会社はごくごく普通の輸送業務の傍ら、こっそりとスパイや軍事アドバイザーを運んだり、反共産系組織への物資を輸送したり、当時のラオス王国政権軍のパイロットの育成を行っていたのである。
こうした敵戦線後方での軍事活動や、政治的に微妙な作戦を行う主体はベトナム戦争あたりを境にCIAから軍の特殊部隊にその主体は移っていく。AFSOCの前身である第23空軍は当時の軍事空輸軍団(MAC)が特殊作戦部隊として83年に設立し、特殊作戦をロジスティクス面で支えること……断絶した戦線の向こう側と空から人員・物資をやりとりすること……を第1の任務としていた。90年にAFSOCに格上げされ、現在の形になっている。
最近ではリビアでの活動が注目されるところだろうか。リビア空軍のFacebookページに掲載された以下の画像にはマーキングのないドルニエでやってきた「アメリカ兵」が写り込んでいる。
第2の重要な任務は、地上から航空機を誘導することである。現代の航空機はそれ単独で飛ぶわけではなく、地上基地や空のAWACS(空中警戒管制機)、ビーコン、GPSなど様々な航法支援が不可欠である。
しかし、特殊作戦が行われるエリアの多くではこうした支援を受けることはできない。敵中深くに存在する重要施設をピンポイントで破壊するには、爆撃機を精密に誘導しなければならない。他軍のユニットに同行し、地上戦力と航空戦力を統合すること、地上チームが航空機を「召喚」できるようにすることがAFSOC人員の第2の任務である。
この2つを細分化したものとして、空軍公式資料ではAFSOCの任務を以下のように紹介している:
AFSOCは陸海軍・海兵隊の特殊部隊に帯同し、以上の能力を付与することを目的としている。これを実現するために航空機運用が主体の部隊と、地上で活動する部隊に分かれているが、今回は後者の「特殊戦術部隊(Special Tactics)」と呼ばれる人たちについて紹介する。
特殊戦術部隊(Special Tactics)
AFSOCは司令部化に7つの航空団(Wing)と、全体を支援する空軍特殊作戦航空戦闘センター(Air Force Special Operations Air Warfare Center)の8グループで構成されている。このうち特殊戦術部隊は3つ、第24特殊作戦航空団(SOW)、第352特殊作戦航空団第321特殊飛行隊(STS)、353特殊作戦航空団320特殊航空隊(STS)である。また陸軍特殊部隊に帯同する専門の部隊として第17特殊飛行隊が存在する。SOW、STSはさらにアメリカ全土の空軍基地にある分遣隊(DET)やOL(活動拠点……Opetating Location)に分かれている。
こちらはAFSOCの7航空団と、そのうち特殊戦術部隊をもつ航空団の組織図である。空軍は航空機運用のために、大きく高度な施設、整備維持・指揮管制のためのマンパワー、膨大な燃料・補修物資など大量のサポートを必要とするため、部隊の規模はとても大きく、全体としては約2万人という巨大な組織である。
しかしいわゆる「特殊作戦」を行う以下の人員はごく少ない精鋭部隊である。例えば第24特殊作戦航空団隷下の第724特殊作戦群は以下のような編成となっている。この中で実際の戦闘に参加するのは第24STSで、後は使用する機材の整備などを行う支援部隊である。
STSはこうしたチームで構成されている。詳しい任務内容については後述する。
パラレスキュー(PJ)
ヘリや固定翼機を使い、人員の回収と救急医療を提供するユニットである。「パラレスキュー」がユニット名で所属する個人は「パラジャンパー」と呼ばれる。一般向けのレスキュー部隊としても活動しており、特殊部隊(SOF)として扱われるのは全体の40%ほどである。心肺蘇生や延命措置など高度な医療技術を持っているほか、敵地に墜落した機体からの機密物資の回収などシビアな任務に対応できる戦闘能力を持っている。
パラレスキューの選抜と育成訓練過程は以下の通り。
コンバットコントロールチーム(CCT)
空中からの物資・人員投下を行うためには、地上からの誘導が不可欠である。陸軍の空挺部隊では「パスファインダー」と呼ばれる人員が先に降下しランディングゾーンを確保しているが、AFSOCではコンバットコントローラー達がこれを行う。
コンバットコントローラーの任務はアサルトゾーン、飛行場を確保することである。攻撃部隊の誘導はもちろん、野戦空港を設置して輸送機などの管制も行う。任務の一端が以下の公式動画で公開されているが、戦闘はもちろん災害救助の際も活躍する部隊である。
選抜と育成訓練過程は以下の通り。
戦術航空統制班(TACP)
あらゆる航空機の管制を行うCCT対し、TACPは各軍の地上部隊に同行し航空火力の終末誘導を行うユニットである。CCT資格者、STO(特殊戦術士官)、ALO(航空連絡士官)などの一定の資格・技術を持った人員で構成される。
航空機誘導に関する技術はもちろんのこと、いつでも18時間以内に出征できること、そして地上戦闘員と共に行動するため高い個人戦闘能力も求められる。希望者は陸軍スナイパースクールでの訓練も受けられるようだ。
こちらは公式のユニット紹介動画であるが、平服で訓練しているところが写り込んでいる。市街地に紛れ込み、ターゲットとなる建物をピンポイントで爆撃することも任務の一部なのかもしれない。
航空火力という危険な兵器を扱う以上、その教育は厳しい。地上への攻撃を誘導すにはJTAC(統合末端攻撃統制官)認定を受けなければならないが、これは17ヶ月ごとに認定を取得し直さなければならない。またTACP要員は半年ごとに夜間の実弾演習、4半期ごとのJTAC演習に参加する必要がある。
選抜と育成訓練過程は以下の通り。
特殊作戦気象観測チーム(SOWT)
航空機が飛ぶために不可欠な気象情報を敵戦線後方で取得するという、空軍ならではの任務を行うユニットである。なお、空軍内の気象予報士を経てからでなければ、特殊戦術部隊に応募することはできない。
特殊戦術部隊(Special Tactics)の採用について
STには一般的に「空軍」と聞いてイメージするものとは大きく違う人材が求められている。STは他の特殊部隊に帯同し敵陣に浸透する必要があるため、個人に高い戦闘力が求められる。このため一般的な空兵が特殊戦術部隊に応募すると「再訓練(Retraining)」を受けることになる。このため空軍以外にも全軍に門戸が開かれている他、軍歴のない一般人が特殊戦術部隊に直接応募することも可能である。
ブリーチング訓練を受ける特殊戦術部隊。「パイロット」を中心とする空軍のイメージからはかなり離れている。
体力的にも以下のようなタフさが求められる。:
特に水泳能力については非常に高いものが求められている。水路潜入の他、水没した機体から乗員を回収するケースが多いためである。
2011年3月の東日本大震災での活躍
アメリカ空軍は特殊戦術部隊は、2011年の東日本大震災の復旧において大きな活躍をしている。嘉手納空軍基地に駐留していたAFSOC第353特殊作戦航空団隷下の第320特殊作戦飛行隊が仙台空港に派遣され、2本の滑走路と管制能力を確保したことは記憶に新しい。
嘉手納から自衛隊松島基地に入り、陸路で仙台空港に移動してきた第320特殊作戦飛行隊のCCTチーム。
衛星通信回線を設置するCCT。
風向きを測定するSOWT。
滑走路上に異物がないかどうか、C-130輸送機が着陸するのに十分な距離があるのかを確かめるCCT。
当時、仙台空港は地震と停電で完全に機能を喪失していたが、震災からわずか5日後の3月16日、第353特殊作戦航空団のコンバット・タロンを着陸させるのに成功している。その後も支援物資・人員を輸送する官民の航空機を捌き続け、過酷な環境下におけるCCTの高い能力を示すこととなった。
航空機の運用には制限が多い。特殊戦術部隊のいるところはあらゆる地面が飛行場となるが、これを維持するには膨大な物資と綿密なサポートが必要となる。これを可能にするAFSOCはアメリカの軍事力の強大さを示す、ユニークな存在であるといえる。
Text & Graphic: Chaka (@dna_chaka)
1950年、エアデール社という小さな航空会社が生まれた。彼らは中国国内の航空会社を買収し59年にエア・アメリカと改名、東南アジア各国での人員・貨物輸送業務を開始した。
このエア・アメリカはCIAやその他の機関が出資するダミーカンパニーであった。エア・アメリカとその関連会社はごくごく普通の輸送業務の傍ら、こっそりとスパイや軍事アドバイザーを運んだり、反共産系組織への物資を輸送したり、当時のラオス王国政権軍のパイロットの育成を行っていたのである。
こうした敵戦線後方での軍事活動や、政治的に微妙な作戦を行う主体はベトナム戦争あたりを境にCIAから軍の特殊部隊にその主体は移っていく。AFSOCの前身である第23空軍は当時の軍事空輸軍団(MAC)が特殊作戦部隊として83年に設立し、特殊作戦をロジスティクス面で支えること……断絶した戦線の向こう側と空から人員・物資をやりとりすること……を第1の任務としていた。90年にAFSOCに格上げされ、現在の形になっている。
最近ではリビアでの活動が注目されるところだろうか。リビア空軍のFacebookページに掲載された以下の画像にはマーキングのないドルニエでやってきた「アメリカ兵」が写り込んでいる。
私服の武装集団の目的は一切不明であるが現地武装勢力との連絡要員であるとも言われている。ドルニエは機番から米空軍所属であることが判明しており、AFSOCとその他SOFの静かな活躍を伝えるものである。
第2の重要な任務は、地上から航空機を誘導することである。現代の航空機はそれ単独で飛ぶわけではなく、地上基地や空のAWACS(空中警戒管制機)、ビーコン、GPSなど様々な航法支援が不可欠である。
しかし、特殊作戦が行われるエリアの多くではこうした支援を受けることはできない。敵中深くに存在する重要施設をピンポイントで破壊するには、爆撃機を精密に誘導しなければならない。他軍のユニットに同行し、地上戦力と航空戦力を統合すること、地上チームが航空機を「召喚」できるようにすることがAFSOC人員の第2の任務である。
この2つを細分化したものとして、空軍公式資料ではAFSOCの任務を以下のように紹介している:
1. 素早い支援攻撃(Agile Combat Support)
AC-130シリーズのガンシップや無人攻撃機などによる近接航空支援を地上の特殊作戦チームに提供する。
2. 航空機運用における海外内的防衛(Aviation FID)
諸外国の組織に航空部隊の運用を指導・訓練する
3. 「特殊戦術」(Special Tactics)
4. コマンド&コントロール
周辺空域の航空管制を行い、地上部隊との共同作戦を行うハブとなる
5. 精密攻撃(Precision Strike)
火砲の射程の向こうにある目標に対し、地上からのレーザー誘導によるピンポイントな対地攻撃を行う。
6. 情報作戦(Information Operations)
7. 情報収集・偵察(Intelligence, Surveillance, Reconaissance)
8. 特殊輸送(Special Air Mobility)
AFSOCは陸海軍・海兵隊の特殊部隊に帯同し、以上の能力を付与することを目的としている。これを実現するために航空機運用が主体の部隊と、地上で活動する部隊に分かれているが、今回は後者の「特殊戦術部隊(Special Tactics)」と呼ばれる人たちについて紹介する。
特殊戦術部隊(Special Tactics)
AFSOCは司令部化に7つの航空団(Wing)と、全体を支援する空軍特殊作戦航空戦闘センター(Air Force Special Operations Air Warfare Center)の8グループで構成されている。このうち特殊戦術部隊は3つ、第24特殊作戦航空団(SOW)、第352特殊作戦航空団第321特殊飛行隊(STS)、353特殊作戦航空団320特殊航空隊(STS)である。また陸軍特殊部隊に帯同する専門の部隊として第17特殊飛行隊が存在する。SOW、STSはさらにアメリカ全土の空軍基地にある分遣隊(DET)やOL(活動拠点……Opetating Location)に分かれている。
こちらはAFSOCの7航空団と、そのうち特殊戦術部隊をもつ航空団の組織図である。空軍は航空機運用のために、大きく高度な施設、整備維持・指揮管制のためのマンパワー、膨大な燃料・補修物資など大量のサポートを必要とするため、部隊の規模はとても大きく、全体としては約2万人という巨大な組織である。
しかしいわゆる「特殊作戦」を行う以下の人員はごく少ない精鋭部隊である。例えば第24特殊作戦航空団隷下の第724特殊作戦群は以下のような編成となっている。この中で実際の戦闘に参加するのは第24STSで、後は使用する機材の整備などを行う支援部隊である。
STSはこうしたチームで構成されている。詳しい任務内容については後述する。
1. パラレスキュー(PJ)
2. CCT(Combat Control Team)
3. SOWT(特殊作戦気象観測チーム)
4. TACP(戦術航空統制班)……ALO(空軍連絡将校)、JTAC(統合末端攻撃統制官)
パラレスキュー(PJ)
ヘリや固定翼機を使い、人員の回収と救急医療を提供するユニットである。「パラレスキュー」がユニット名で所属する個人は「パラジャンパー」と呼ばれる。一般向けのレスキュー部隊としても活動しており、特殊部隊(SOF)として扱われるのは全体の40%ほどである。心肺蘇生や延命措置など高度な医療技術を持っているほか、敵地に墜落した機体からの機密物資の回収などシビアな任務に対応できる戦闘能力を持っている。
パラレスキューの選抜と育成訓練過程は以下の通り。
イントロダクションコース 9週
陸軍空挺学校 3週
空軍コンバットダイバースクール 6週
海軍水中脱出トレーニング 1日
空軍ベーシックサバイバルスクール 2.5週
陸軍フリーフォールパラシュートスクール 5週
パラメディックコース 22週
パラレスキューリカバリースペシャリストコース 24週
特殊戦術学校に配属され、訓練継続。
コンバットコントロールチーム(CCT)
空中からの物資・人員投下を行うためには、地上からの誘導が不可欠である。陸軍の空挺部隊では「パスファインダー」と呼ばれる人員が先に降下しランディングゾーンを確保しているが、AFSOCではコンバットコントローラー達がこれを行う。
コンバットコントローラーの任務はアサルトゾーン、飛行場を確保することである。攻撃部隊の誘導はもちろん、野戦空港を設置して輸送機などの管制も行う。任務の一端が以下の公式動画で公開されているが、戦闘はもちろん災害救助の際も活躍する部隊である。
First There: Air Force Special Operations Combat Control - YouTube
選抜と育成訓練過程は以下の通り。
コンバットコントロールセレクションコース 2週
コンバットコントロールオペレーターコース 15.5週
陸軍空挺学校 3週
空軍ベーシックサバイバルスクール 2.5週
コンバットコントロールスクール 13週
(修了すると赤ベレーとCCTのフラッシュを着用できる)
特殊戦術部隊応用技術訓練(STAST) 11~12ヶ月
(STASTと並行して)陸軍フリーフォールパラシュートスクール 5週
空軍コンバットダイバーズスクール 4週
戦術航空統制班(TACP)
あらゆる航空機の管制を行うCCT対し、TACPは各軍の地上部隊に同行し航空火力の終末誘導を行うユニットである。CCT資格者、STO(特殊戦術士官)、ALO(航空連絡士官)などの一定の資格・技術を持った人員で構成される。
航空機誘導に関する技術はもちろんのこと、いつでも18時間以内に出征できること、そして地上戦闘員と共に行動するため高い個人戦闘能力も求められる。希望者は陸軍スナイパースクールでの訓練も受けられるようだ。
こちらは公式のユニット紹介動画であるが、平服で訓練しているところが写り込んでいる。市街地に紛れ込み、ターゲットとなる建物をピンポイントで爆撃することも任務の一部なのかもしれない。
Be a Spec Ops Tactical Air Control Party Airmen - YouTube
航空火力という危険な兵器を扱う以上、その教育は厳しい。地上への攻撃を誘導すにはJTAC(統合末端攻撃統制官)認定を受けなければならないが、これは17ヶ月ごとに認定を取得し直さなければならない。またTACP要員は半年ごとに夜間の実弾演習、4半期ごとのJTAC演習に参加する必要がある。
選抜と育成訓練過程は以下の通り。
JTAC(統合末端攻撃統制官)認定コース 4週
陸軍空挺学校 3週
特殊戦術部隊応用技術訓練(STAST) 12週
特殊作戦気象観測チーム(SOWT)
航空機が飛ぶために不可欠な気象情報を敵戦線後方で取得するという、空軍ならではの任務を行うユニットである。なお、空軍内の気象予報士を経てからでなければ、特殊戦術部隊に応募することはできない。
CCT/SOWTセレクションコース 10日
特殊作戦気象予報士イニシャルスキルズコース 20週
陸軍空挺学校 3週
空軍ベーシックサバイバルスクール 2.5週
空軍水中脱出トレーニング 2日
特殊作戦気象予報士コース 8ヶ月
AST 12~15ヶ月
(並行して)STT 6ヶ月
特殊戦術部隊(Special Tactics)の採用について
STには一般的に「空軍」と聞いてイメージするものとは大きく違う人材が求められている。STは他の特殊部隊に帯同し敵陣に浸透する必要があるため、個人に高い戦闘力が求められる。このため一般的な空兵が特殊戦術部隊に応募すると「再訓練(Retraining)」を受けることになる。このため空軍以外にも全軍に門戸が開かれている他、軍歴のない一般人が特殊戦術部隊に直接応募することも可能である。
ブリーチング訓練を受ける特殊戦術部隊。「パイロット」を中心とする空軍のイメージからはかなり離れている。
体力的にも以下のようなタフさが求められる。:
・ストレス下での試験・面接に耐えうること
・文章・口頭での説明能力
・50~70ポンド(約22~32kg)の荷物を背負って12マイル(約19km)の行進
・8マイル(約9.6km)走
・筋力トレーニング
・水泳能力
特に水泳能力については非常に高いものが求められている。水路潜入の他、水没した機体から乗員を回収するケースが多いためである。
2011年3月の東日本大震災での活躍
アメリカ空軍は特殊戦術部隊は、2011年の東日本大震災の復旧において大きな活躍をしている。嘉手納空軍基地に駐留していたAFSOC第353特殊作戦航空団隷下の第320特殊作戦飛行隊が仙台空港に派遣され、2本の滑走路と管制能力を確保したことは記憶に新しい。
嘉手納から自衛隊松島基地に入り、陸路で仙台空港に移動してきた第320特殊作戦飛行隊のCCTチーム。
衛星通信回線を設置するCCT。
風向きを測定するSOWT。
滑走路上に異物がないかどうか、C-130輸送機が着陸するのに十分な距離があるのかを確かめるCCT。
当時、仙台空港は地震と停電で完全に機能を喪失していたが、震災からわずか5日後の3月16日、第353特殊作戦航空団のコンバット・タロンを着陸させるのに成功している。その後も支援物資・人員を輸送する官民の航空機を捌き続け、過酷な環境下におけるCCTの高い能力を示すこととなった。
航空機の運用には制限が多い。特殊戦術部隊のいるところはあらゆる地面が飛行場となるが、これを維持するには膨大な物資と綿密なサポートが必要となる。これを可能にするAFSOCはアメリカの軍事力の強大さを示す、ユニークな存在であるといえる。
Text & Graphic: Chaka (@dna_chaka)
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
★この記事へのコメント
コメントを投稿する
★この記事をブックマーク/共有する
★新着情報をメールでチェック!
★Facebookでのコメント