米陸軍の先進装備、複合現実(Mixed Reality)ゴーグル『IVAS』は2021年末に配備開始
米陸軍未来司令部(AFC: Army Futures Command)による新製品の開発評価イベント「兵士の接点(STP: Soldier Touch Point)」で、マイクロソフト製『統合視覚拡張システム(IVAS: Integrated Visual Augmentation System)』の試作機を使った開発評価に、バージニア州フォートピケットの兵士らが参加している。フォートピケットは、陸軍州兵の拠点であり、中東地域での戦闘シナリオを想定した集落の訓練場を有している。
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開発を担当する「兵士殺傷性部門間協力チーム(SL CFT: Soldier Lethality Cross Functional Team)」は、陸軍の近代化を任務とする未来司令部の抱える8つの部門間協力チームの内の1つ。とりわけ近接戦闘部隊の武器開発に重点を置いている。IVASは、中国やロシアなどを念頭に、同等(ニアピア)な先進装備を有する敵との対峙を想定し、多領域戦場(マルチドメイン)作戦における優位性の確保を狙っており、SL CFTが関わる全製品の中でも、IVASの開発は最も関心の高い計画となっている。
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24ケ月の開発スケジュールが組まれており、その中で4段階のSTPが設定されている。
1回目のSTPは、今春、海兵隊員や特殊部隊員がIVASの初期プロトを使ってテストを実施。そして今回のSTPは2回目となり、小隊レベルでの新機能を評価し、より複雑で厳しい要求をこなすテストがおこなわれる。これまでに3,200時間以上の評価時間を要しており、多くの現場の声を収集し、今後の開発に反映される予定。
IVAS着用者はカラーシースルーデジタルディスプレイによって、目の前に広がる戦場から視線を大きく逸らすことなく情報にアクセスできるようになり、状況認識の向上が見込める。また熱センサーと低照度センサーによって文字通りに暗闇の中でも視覚を確保でき、素早くターゲットを捕捉しその識別を支援する(敵戦闘員の脅威と民間人・非戦闘員の識別)など、拡張現実と人工知能を使うことで兵士の能力拡大に期待が持たれている。
こうした様々な機能を搭載した最終製品は、2021会計年度の第四四半期にその配備を計画している。
Source:
Soldiers test new IVAS technology, capabilities with hand-on exercises
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