「あなたが軍用レーションについて知らない5つのこと」を教えてくれる動画

ミリタリーブログサポートチーム

2015年04月28日 15:35

アメリカ軍は世界で最も力を入れて兵士の装備の研究開発を行っている。もちろんレーション(携帯食料)も例外ではない。軍事関連ニュースポータルサイト「Military.com」が、このレーションの歴史から、ユニークな5つの事実を紹介する動画を公開した。

Photo Credit: Michael Stepien, NSRDEC Combat Feeding Directorate

1. レーションの味をちゃんと考え始めたのは1944年

レーションは1936年、イリノイ州シカゴにあった需品部食料・容器研究所(QMFCI)で開発が始まった。所要栄養量を満たすこと、保存性が高いこと、携帯性がよいこと、味がよいことの4つを満たすのが目標であったが、1941年、アメリカがWW2に参戦すると開発期間が短縮されることとなり、味は無視されることとなった。

この結果大変な不評が出たため、QMFCIでは食品受容研究部を設立し材料・調理法・心理学など様々な面から味覚を研究することとなった。


Screen capture: Hormel Foods Corporation

2. 1944年の「スパム」の缶詰は全生産量の90%が軍向けだった

ホーメル社の「スパム」の缶詰は42年、Kレーションとして採用された。44年には全生産量の90%が、45年にはホーメル社の全製品の60%が軍に納入された。

現在でもグアムやテニアンといった太平洋戦線の島々ではスパム缶詰はポピュラーなもの。「ご当地モデル」も存在している。


Photo: Meal, Combat, Individual ration, via Wikimedia Commons.
Elements of a U.S. Air Force Meal, Combat, Individual ration, as served in Da Nang, South Vietnam during the Vietnam War, 1966 or 1967.

3. ベトナム戦争でよく食べられたのは「Cレーション」ではなくMCI

「Cレーション」はレーション全般を指すほどポピュラーになったが、ベトナム戦争ではその進化系であるMCI(Meal, Combat, Individual)が支給されていたので、厳密には「Cレーション」ではないものを食べていたことになる。


Brigadier General Walter Stauffer "Tabasco Mac" McIlhenny, USMC (DECEASED)

4. 「タバスコ・マック」ガダルカナルの戦いで海軍十字章を受賞

1986年、陸軍ナティック研究所で完成したMRE(Meal Ready to Eat)には、主食だけでなくスナックや調味料などアメニティもどっさり入っている。中でも「タバスコ」は人気のアイテムであるが、このタバスコを生産していたマキルヘニー社の元社長、ウォルター・マキルヘニー (Walter McIlhenny) は元海兵隊准将で、ガダルカナルの戦いでは海軍十字章を受賞した人物。当時は家業から「タバスコ・マック」と呼ばれていた。


Photo Credit: Felix Gilbert (Army.mil)

5. 将来のレーションは3Dプリンティング技術が応用されるかも

現在研究中の将来型汎用作戦糧食(FGPOR)は、現行のレトルトパウチの詰め合わせという形態ではなく、まったく違ったものになる可能性が高い。ナティック研究所では、出征先の土地や気候、兵士個人の好みや体格に合わせて、3Dプリンタでレーションを出力する技術の研究も進められている。

関連記事:
米陸軍、3D プリンターでレーションを生成する技術を研究

Source: 5 Things You Don't Know About: Rations | Military.com
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201504
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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