米軍の新制式ハンドガン「XM-17」にホローポイント弾頭が採用される可能性が高まる
アメリカ軍は新制式拳銃MHS(試作ナンバー:XM-17)の選定を進めているが、これと併せて採用される弾薬について、従来から使用しているフルメタルジャケット(FMJ)以外の特殊(special purpose)な弾頭についても選択肢に含めることを2015年7月8日、銃器メーカー各社と意見を交換する第4回目のIndustry dayにおいて明らかにした。
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米陸軍の次期制式拳銃「XM17」MHS は今年中に候補が出揃い、2018 年までに採用予定
アメリカは1899年の「ダムダム弾の禁止に関するハーグ宣言」に調印していないが、国防総省ではこれに準じたガイドラインを設定していた。このため軍では小銃・拳銃とも弾頭が鉛の弾芯が銅で完全に覆われたFMJ弾を使用しており、ジャケテッド・ホローポイント(JHP)弾など鉛の露出したものの使用は対テロ作戦など非正規戦闘で特に許可された場合に限ってきた。今回の発表はこの運用について大きな転換が行われたことを示唆している。
アメリカ軍の軍法務部長のリチャード・ジャクソンはIndustry Dayにて、アメリカ国内の警察・司法機関ではJHP弾が多く使用されていることにふれ、こうした特殊な弾頭の採用によってより精密で強力な拳銃を提供できるとコメントした。
特殊弾頭の許容はまた、XM-17の選択肢が大きく広がったことも意味している。FMJ弾はJHP弾と比べ人体への破壊力が小さく、そもそも9mmという口径についてもパワー不足を指摘する声は大きい。アフガニスタンやイラク派遣組からも威力不足を指摘されており、XM-17では.40や.45などより大口径が採用されると予測する業界関係者もいる。
鉛の弾芯が一部露出したJHP弾は体内に入ると変形し、大きなダメージを与えることができる。このため口径を変更せずとも計画されている10%以上の威力向上を達成できる。従来の弾丸も使用できるため、補給の面でも大きなメリットがある。
9mmのFMJ弾とHP弾の破壊力比較動画。FMJ弾があまり変形することなくスイカを貫通するのに対し、HP弾は中で大きく減速しエネルギーを放出する。このため、HP弾の場合はスイカが一度大きく膨らむ。
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