「中国の情報機関に寝返った」ブラックウォーター創始者が連邦捜査機関から調査

ミリタリーブログサポートチーム

2016年03月30日 15:12


Photo: Erik Prince, left, chairman of Frontier Services Group via Intercept
かつて世界で最も有名な民間軍事会社の 1 つとして知られた「ブラックウォーター (Blackwater) 」社の創設者であり、元・米海軍特殊部隊 SEAL 隊員のエリク・プリンス (Erik Prince) 氏が、マネーロンダリング (資金洗浄) や、中国情報機関との不可解な繋がり、傭兵サービスのブローカー事業などの項目において、米司法省をはじめとする幾つかの連邦捜査機関の調査を受けている。

プリンス氏への嫌疑の目が向けられたのは、リビアをはじめとするアフリカ各国において、ディフェンスサービスの販売を進めていた時点に遡る。当時、アフリカ諸国での事業拡大を狙ったプリンス氏。リビアでのビジネスを始動させる際に、中国の情報機関が接近し、中国の銀行を通じて援助がおこなわれていたことが明かされている。

プリンス氏側は顧問弁護士を通じて「連邦機関による調査は知らされていない」とし、また、自身のリビアでのサービス提供について否定している。そしてマネーロンダリングについては「全くのデタラメだ」と完全否定している。

本件を詳報しているネットメディアのインターセプト (Intercept) には、プリンス氏の現在・過去におけるビジネスパートナーを含めた複数名の側近者や、4 名の連邦捜査機関経験者、司法省の調査チーム関係筋などへの具体的なインタビュー記事が掲載されている。加えて、連邦捜査機関は 1 年以上に渡ってプリンス氏の身辺を内偵調査していたと伝えている。

一報を受け、米国内の軍事情報サイトの中には「エリク・プリンスは、米国を中国の情報機関に売り飛ばした」と見出しを付けて掲載するなど、プリンス氏は大きな批判の下に晒されている。

Photo: Blackwater founder Erik Prince
民間軍事会社の代名詞的存在だった Blackwater 社は、2007 年 9 月に起こしたイラク人射殺事件を機に、民間軍事会社の協会である IPOA (International Peace Operations Association:国際平和活動協会) から除名。2009 年 2 月に「Xe Services LLC(zi:と発音)」を立ち上げている。その後、2011 年に立ち上げられた「ACADEMI」に事業が継承され、その同時期にプリンス氏は正式退任を決めて組織を離脱している。

その後、UAE に向かったプリンス氏は、アブダビの王子から 5 億 2,900 万ドル (=当時の為替換算で約 428.5 億円) の出資を受けて「Reflex Responses (R2) 」社を創設。2016 年 1 月、R2 社は創設以来初めての戦闘ディプロイメントをイエメン南部でおこなったことが報じられている。

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Blackwater 創設エリク・プリンス氏が UAE で立ち上げた「R2」社がイエメンで暗躍

FSG Company Profile
そして現在プリンス氏は、アフリカ地域における軍事ロジスティックを打ち出している「フロンティア・サービス・グループ (FSG: Frontier Services Group) 」社の会長 (chairman) に就任している。

Intercept 2016/03/24
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