Photo: Private Security Detail in Iraq / DTIC
Image is for illustration purposes only.

中東・アラビア半島のイエメンを舞台に、紛争の中で暗躍する民間軍事会社 (PMC: Private Military Company) ・傭兵ビジネスの存在が再びクローズアップされた。

ロシア報道スプートニクによると、イエメン陸軍でスポークスマンを務めるシャラフ・ガリブ・ルクマン (Sharaf Ghalib Luqman) 准将は「サウジアラビア率いる同盟国が、世界中から傭兵を集めてイエメンに集結させている」「その中には米国の民間セキュリティー企業 Blackwater (ブラックウォーター) 社も含まれ、400 名ほどのコントラクターが参加している」と語っている。「Blackwater (便宜上の表記) 」に集まった傭兵の出身は、ソマリアやスーダンなどの貧困国の他、欧州各国や南米コロンビアも含まれているとのこと。

民間軍事会社の代名詞的存在だった Blackwater 社は、2007 年 9 月に起こしたイラク人射殺事件を機に、民間軍事会社の協会である IPOA (International Peace Operations Association：国際平和活動協会) から除名。社名から「ブラックウォーター」の名が無くなり、2009 年 2 月には、民間警備の業務を、ビジネスの視点からフォーカスし、企業における変化を反映させるという意味を込めた社名、「Xe Services LLC（zi:と発音)」へと変更。

関連記事：
⇒Blackwater警備要員は、最終的に過失致死容疑に直面

Photo: Blackwater founder Erik Prince

その後、Blackwater、Xe 時代からの投資家コンソーシアム「USTC ホールディングス」が、Xe がおこなっていたサービスを継承するブランドネームとして、2011 年に「ACADEMI」を立ち上げている。ACADEMI 立ち上げと同時期に、元・米海軍特殊部隊 SEAL 隊員で Blackwater 社の創設者であるエリク・プリンス (Erik Prince) 氏が正式に退任を決めており、組織を離脱している。

関連記事：
⇒Blackwater、再び社名変更で"ACADEMI"社へ

プリンス氏は UAE に向かい「Reflex Responses (R2) 」社を創設。出資者は UAE の首長国であるアブダビの王子で、当時 5 億 2,900 万ドル (＝当時の為替換算で約 428.5 億円) の巨費が投じられたことが報じられていた。

関連記事：
⇒ブラックウォーター創設者が率いるR2、中東アブダビで傭兵契約

その後、今年に入り 1 月 31 日に、イラン国営通信 Press TV が「イエメン南部のラヒジ州でミサイル攻撃がおこなわれ、数十名のサウジアラビアからの傭兵と合せて、Blackwater の指揮官が戦死した」と報じている。数日遅れで同国営通信ファールスは、「爆撃があったのは、アル・アナド (al-Anad) 空軍基地で、使われたミサイルはトーチカミサイルだった」「この攻撃により、スーダン人の Blackwater の傭兵 200 名も戦死している」と報じている。

無くなった Blackwater の指揮官は、ニコラス・ペトロス (Nicholas Petros) 氏。サウジ主導によるイエメンでの戦闘において傭兵集団の指揮を執っていた。

この 5 年程の間に、外国人傭兵部隊の構築を密かに温めていた UAE 。プリンス氏が創設した R2 の私軍 (private army) による戦闘ディプロイメントは今回が初めてだと報じられている。

Sputnik 2016/01/19
Press TV 2016/01/31
FARS News Agency 2016/02/10