英軍特殊部隊 SAS がダーイッシュ (IS) を相手にリビアで「XM25 CDTE」パニッシャーのプロトタイプを使用か

ミリタリーブログサポートチーム

2016年08月09日 14:17


Photo: via Orbital ATK
Image is for illustration purposes only.
ダーイッシュ (Daesh, IS, Islamic State, ISIS, ISIL) との戦闘が繰り広げられている北アフリカ・リビアの都市スルト (Sirte) で、密かに活動を展開している英陸軍特殊部隊 SAS が、1 時間に渡る銃撃戦のさなかに、「パニッシャー (Punisher) 」の名で知られる米国製の高精度グレネードランチャーのプロトタイプとみられる武器を使用した。英国の保守系高級紙の日曜版であるサンデー・タイムズが伝えている。
サンデー・タイムズによると、リビア人の戦闘員が「イギリス人はとても目的を持った様子で現場に来ていた」「まるでダーイッシュ戦闘員の居場所を確固たる情報として知っているかのようで、我々リビア人のスナイパーが屋根の上に確保していた狙撃に適した位置を奪っていった」と語っている。

また、そのリビア人戦闘員は「彼らは何発か普段見かけないミサイルを撃っていた」「それらは小さな爆弾のような形だが、かなり遠くまで飛んでいき、敵陣の背後に至ったところで爆発して破片を飛び散らかしていた」とも語っている。


Photo: via DTIC
「パニッシャー」は公式には「XM25 CDTE (Counter Defilade Target Engagement, 遮蔽標的対処交戦) システム」と呼ばれる個人携行用のセミオートマティック式空中炸裂システム。目標捕捉 (target acquisition) システムに特徴を持っており、ボタンを押下することでターゲットとの距離が測定され、そのデータが 25mm 弾に組み込まれた電子起爆装置に送信される。実射時は、600 メートル以上離れた敵ターゲットに対して炸裂させることで、直接的に攻撃を浴びせることができる。

開発のお膝元である米陸軍では、2013 年 2 月にアフガニスタンでおこなった実弾を使った射撃訓練中、システムが作動不良を起こして射手が負傷。サービスが中止されるという事態になっていた。

その後、2015 年 10 月には、よりパワフルに、そして合理化された火器管制システムを備えたアップグレード版として登場することが報じられ、今年 2016 年 2 月には、米陸軍が 2017 会計年度の中で優先順位をもって正式に始動したことが伝えられている。

関連記事:
米陸軍、XM25の作動不良による射手負傷事故でサービス中止に
米陸軍向け改良版「XM25 エアバースト・グレネードランチャー」が来年春にも試作資格認定試験 (PPQT) へ
米陸軍の「XM25」 計画が本格始動。2017 会計年度で 1,000 万ドルの予算を要求
関連記事