米DARPAが細胞の活動を抑制して負傷者の延命を図る技術の共同研究者を募集中

ミリタリーブログサポートチーム

2018年03月23日 20:39


Photo Credit: Navy Mass Communication Specialist 2nd Class Summer M. Anderson
This photo is for illustration purposes only.
戦場での負傷者が助かるかどうかは「ゴールデンアワー」と呼ばれる負傷後のわずかな時間にかかっている。この間に生命機能の維持を行い後送するわけだが、危険区域では迅速な対応が行なえず、間に合わないこともある。それではこのゴールデンアワーを延長することができないか……アメリカ国防総省の研究機関、DARPAが、いわば細胞の時間を止める技術の研究にパートナーを募集している。

参考:元フランス外人部隊衛生兵・野田力氏による「アフガニスタン戦場救命」講話会が開催 - ミリブロNews
医療系ギアを開発するチヌーク・メディカル・ギア社にみるアメリカでの装備事情 - ミリブロReport
分子生物学的には生命というのは継続的な化学反応であると言える。負傷するとこの化学反応に必要な物質が供給されずに飢えてしまったり、あるいは複数の反応の間でバランスが崩れ、結果として活動が停止するということが起こる。

こうした化学反応はタンパク質などの巨大な分子を触媒として行われているが、DARPAはここに何らかの方法で干渉することで細胞の活動をコントロールし、一部の両生類やクマムシのような「冬眠状態」を人工的に作り出したり、あるいは復旧させたりすることで、ゴールデンアワーを延長することを考えているようだ。。
細胞活動の抑制と復旧を時計で表現するDARPAのイメージ。薬剤の注射でコントロールするようだが、まったく違う方法であるかもしれない。

Image from DARPA

これまで軍では様々な救護技術の開発や、あるいはMEDEVAC・CASEVACを迅速に行う輸送技術に投資してきた。今回のDARPAの研究が実を結べば、まったく違う側面から救護システムに光を当て、強化するものになるだろう。

Source: Slowing Biological Time to Extend the Golden Hour for Lifesaving Treatment
Biostasis Webinar - DARPA-SN-18-36 - Federal Business Opportunities: Opportunities

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201803
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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