イスラエルのSmart Shooter社が開発した電子補正式の光学照準器「SMASH」で命中率が飛躍的に向上

ミリタリーブログサポートチーム

2018年04月13日 18:07


Photo from Smart Shooter Ltd.
高度な光学照準器が狙撃手などに限って配備されていたのはもう過去のことで、今では一般兵に対しても支給されるようになった。そうした装置が銃の性能を向上させるだけでなく、他にも大きな影響を与えることが分かってきたためだ。

イスラエルのスタートアップ企業、Smart Shooter社が開発した電子補正式の光学照準器「SMASH」は、単純に狙いをつけるアシストをするだけでなくトリガータイミングをコントロールし、命中率を飛躍的に向上させるという射撃システムである。

Photo from Smart Shooter Ltd.
SMASHはレーザー測距装置や赤外線カメラ、ジャイロや加速度センサーと画像認識ソフトウェア、弾道補正アルゴリズムを組み合わせた照準装置と、トリガーの動きを制限するデバイスから構成されている。

Photo from Smart Shooter Ltd.

トリガーデバイスは、取り付けたい銃に応じたものが各種用意されているようで、公式Webページではタボール用とAR-15クローン用のものを見ることができる。

Photo from Smart Shooter Ltd.

SMASHはこれらのカメラやセンサーから得た画像を解析し、その中からターゲット候補を抽出する。射手はその中から撃ちたいターゲットをレティクルに入れボタンを押すと、そのターゲットまでの距離や移動速度が算出され「ロック」された状態になる。あとはロックされたターゲットに対し再度レティクルを合わせ、射手がトリガーを引き続けると、適切なタイミングでトリガーが解除され、発射されるという仕組みである。

プロモーション動画では、この一連のプロセスが紹介されている。
Smart Shooter clip - YouTube

バリエーションには倍率有りの「2000M(左)」、暗視機能を強化した「2000N」がある。射撃補助アルゴリズムも偵察用小型ドローンを撃墜するのに特化した「ドローンモード」があり、ソフトウェアの変更で様々な機能を付与することができるようだ。

Photo from Smart Shooter Ltd.

類似する製品にアメリカのTrackingPoint社の製品があるが、こちらがライフル本体に組み付けた形でしか購入できないのに対し、SMASHは照準器単体で購入することができるのが特徴だ。予算に乏しい組織でもSMASH照準器を搭載するだけで、既存の制式小銃のライフサイクルを延長することができる。

また、単純に命中精度を向上することだけがこうした照準器の役割ではない。交戦距離の長大化による射手の安全や秘匿性の確保や、精度向上による弾薬の携行量の相対的増加などは、戦術や部隊構成、兵站といったよりマクロなレベルにも大きな影響を与える。このため照準器を含めた射撃システムの開発・改良はホットなトピックである。中には弾道計算だけでなく射手による手ブレまでも補正する「AimLock」システムなどユニークなデバイスもあり、目が離せない分野である。

参考:アメリカ軍が開発中の小火器用手ブレ補正システム「Aimlock」 - ミリブロNews

Source: SMARTSHOOTER - ONE SHOT ONE HIT

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201804
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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