民間軍事企業ブラックウォーター社の創業者がアフガンの治安維持を民営化するプランでトランプ大統領に接近か

ミリタリーブログサポートチーム

2018年09月21日 12:08

一向に改善しないアフガニスタン情勢。民間軍事会社ブラックウォーターの創業者、エリック・プリンスは独自の対アフガニスタン計画でトランプ大統領に近付こうとしており、関係者は危機感をつのらせている。
2017年8月、アメリカ政府はアフガニスタンへの増派と予算の大幅増を決定したが、それから1年たった現在、進捗は「現状維持」の域を出ていない。このためトランプ大統領の閣僚への信頼は薄れつつある。

ブラックウォーター社は文字通り「悪名高い」民間軍事企業で、特に2007年、派遣先のイラクでの民間人射殺事件は広く知られている。創業者であるエリック・プリンスは海軍特殊部隊出身。熱心なトランプ大統領の支持者であり、また姉にアメリカ合衆国教育長官のベッツィ・デヴォスをもつなど、政府にも強力なコネを持っている。BW社売却の後はアラブ首長国連邦やアフリカなどでも民間軍事ビジネスに携わり、一説ではロシア政府との非公式な交渉チャンネルをもつなど、後ろ暗い部分が多い人物でもある。

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プリンスのプランは、大統領直属の特任大使職を創設し、その指揮下に民間軍事会社を含む軍事的資産を置くことを骨子とし、全体としては500億ドルの節約になるという。また、現在中国資本が大きく入り込んでいるアフガニスタンの鉱物資源採掘ビジネスに、アメリカ企業も進出しやすくなるなど経済面でのメリットも大きいという。

トランプ大統領は選挙中からアフガニスタンからの完全撤退を指向していたが、マティス国防長官をはじめ安全保障政策関係者は、現在の微妙なパワーバランスが崩れれば、アフガニスタンが再び反米テロ組織の温床となり兼ねないと大統領を説得した。アメリカは北朝鮮やシリア、ロシア、中国といった政府・地域と緊張関係にあり、アフガニスタンは早急に解決したい問題であり、このためまったく違った打開策に興味を示す可能性が大きくなっている。

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201809
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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