米軍に中国製のニセモノ「Multicam」パーカーが納入。カウンター・ナイトビジョン処理無しで兵士は丸見え

ミリタリーブログサポートチーム

2019年06月04日 18:12


Photo by Airman 1st Class Brandon Valle
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兵士の身を守る為に最新技術と巨額の血税を投じて開発されたはずの軍用品が、目先の利益に釣られた悪意ある業者によって、粗悪な中国製の偽造品にすり替えられ、兵士の手に渡っていた事例が明るみとなった。

米司法省は5月21日、2,000万ドル(=約21億6,000万円)を超える中国製の偽造被服や装備を軍へ納入していたとして、ニューヨーク州ブルックリン在住の卸売業者、「ラミン・コハンバシュ(Ramin Kohanbash)」容疑者(49歳)を起訴したと発表した。

司法省のプレスリリースには、コハンバシュ容疑者の管理下で運営されていたとして、①カリフォルニア・サープラス社(California Surplus, Inc.,)、②Gan Eden社、③それに日本の店頭にも並ぶ『FR-HQ』社の名が挙がっている。

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国産品の使用を義務付ける「Berry Amendment」および「通商協定法(TAA: Trade Agreements Act)」という2つの国内法に基づき、軍およびその他特定の政府機関を購入者と定めた製品については、国産および指定された国の製品であることが求められており、今回名前の挙がっている『中国』はこの限りではない。

起訴状によるとコハンバシュ容疑者が販売していたとする偽造製品の中には、アフガニスタン駐留の米空軍によって使用されている200着のパーカーが含まれている。これらパーカーについては本来、「近赤外線(NIR: Near-infrared)」処理された『マルチカム(Multicam)』ファブリックが使用され、敵の暗視ゴーグルで検出されにくくなるようデザインされるはずだったが、その機能は備わっていなかった。コハンバシュ容疑者が中国からニュージャージーの倉庫に向けて、これらパーカー1,100着を出荷していた記録も提示されている。
検察はまた、コハンバシュ容疑者が「恒久的に難燃性能を持つ」として軍・法執行機関向けにフードを販売していたことも追求している。

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12日に出廷予定のコハンバシュ容疑者には、有線通信不正行為の共謀で最高5年の懲役と最高25万ドル(=約2,700万円)の罰金、また偽造品の不正販売の罪で最大10年の懲役と最高25万ドルの罰金刑が言い渡される可能性がある。

こうした世界中に出回っている偽造品の多くは中国がその産地となっている。税関・国境警備局(CBP: Customs and Border Protection)によると、米国内で2017年に知的財産権侵害関連で34,000件以上が摘発されており、その46%が中国であり32%が香港を起源とし、以下ベトナムの19%が続いている。

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Source: Wholesaler Charged in Conspiracy to Manufacture and Sell Counterfeit Clothing and Other Goods to US Military and Government

※2019/6/5 10:39 情報を追加して再投稿しました。
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