ジンバブエ共和国で活動する女性レンジャー隊員だけの密猟対策部隊「アカシンガ（AKASHINGA）」を追ったドキュメンタリー短編映画『Akashinga: The Brave Ones』の海外版トレーラーが公開された。ナショナルジオグラフィックのオリジナルフィルムとなる本作は、ジェームズ・キャメロンが製作総指揮を務め、アバター同盟財団の映画プロデューサー：マリア・ウィルヘルムがメガフォンをとっている。アースフィルムフェスティバルやトライベッカ映画祭で上映されたのち、2020年後半に171ヵ国（43の言語）のナショナルジオグラフィック TVで放送予定。

Film poster 『Akashinga: The Brave Ones』

野生動物の密猟は、種の絶滅だけでなく犯罪組織やテログループなどの資金源となるため、深刻な社会問題となっている。また、密猟グループが重武装化を進めたことでレンジャー隊員の犠牲者が増え、「密猟戦争」と呼ばれるほどに事態は悪化している。アフリカ諸国はこの問題に対処するために、UAVでの監視やパークレンジャー（自然保護官）の訓練・武器・装備の強化に乗り出している。

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アフリカ南部のジンバブエ共和国では、本作の取材対象となった密猟対策部隊「アカシンガ」が2017年から活動を始めている。アカシンガとは「勇敢なもの」を意味し、オーストラリア陸軍特殊部隊出身でオーストラリアを拠点とする非営利団体「IAPF（国際密猟防止財団：International Anti-Poaching Foundation）」の創設者であるダミアン・マンダー（Damien Mander）氏が設立した密猟対策専門の武装部隊である。

地元コミュニティーと女性のエンパワーメントを支援するために、虐待や性被害・エイズ孤児・疎外など辛い境遇に置かれた女性を対象にレンジャー隊員が募集され、マンダー氏が主導する厳しい軍事訓練を経てアカシンガは発足した。活動開始から2年半で191人の密猟者を逮捕し、ゾウの密猟を80％減少させている。IAPFが管轄する20か所の自然保護区をカバーするために、2025年までに1,000人の女性レンジャー隊員を雇用する方針である。




マンダー氏は、1999年にオーストラリア海軍に入隊し、海上爆発物処理や海上テロ対策を専門とする部隊「掃海潜水支隊（RAN-CDB：Royal Australian Navy Clearance Diving Branch）」の水中処分員を務め、2003年からはオーストラリア陸軍の特殊部隊「第2コマンドー連隊（2 CDO REGT：2nd Commando Regiment）」のテロ対策チーム「タクティカル・アサルト・グループ イースト（TAG East：Tactical Assault Group East）」のスナイパーを担当した。



2005年に退役した後は、アメリカ軍と提携した民間軍事会社に所属しイラクへ3年間赴任。イラク特別警察訓練アカデミーの監督を務め、士官候補生約700人に軍事訓練を施した。アカシンガ設立には、この時の経験が生かされている。イラクを離れ2009年にアフリカ南部の国々へ旅行をした際、野生動物の密猟被害やパークレンジャーの活動実態を知り、IAPF創設を決意した。IAPFは、南アフリカ、ケニア、ジンバブエ、モザンビーク、オーストラリアで活動しており、生態系保護のほかにレンジャートレーニングコースを設けて先住民のリーダーシップと指導力の育成に努めている。

Source:‘Akashinga: The Brave Ones’ Trailer: James Cameron’s Docu Sheds Light On All-Female Anti-Poaching Unit In Zimbabwe