米軍ONR、レールガンEMRGで1,000発目の試射を実施
ONR (Office of Naval Research:海軍研究事務所) 主導により研究が進められている「電磁レールガン (EMRG: Electro-Magnetic RailGun) 」が、10月31日に研究室スケールにおいて、1,000発目の試射を実施した。
EMRG は、一般的な火砲のような化学推進剤を使用せず、「フレミング左手の法則」でお馴染みの「電流」と「磁界」から発生する物理力、「ローレンツ力」を活用した「電磁投射砲」。2本のパラレルとなった金属レールを砲身にし、電気を流し、発生した莫大なローレンツ力を利用することで砲弾を放出させる仕組み。この仕組み自体は以前より知られていたが、実用化には至っておらず、米海軍では、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦をベースとする次期巡洋艦 "CG(X)" での主砲として採用を念頭に開発を計画。2020-2025 年に就役する予定の CG(X) に実装したいとしてる。
現在、構想されている最終的な仕様としては、重量 15kgの砲弾を200海里 (約 370km)に放出するとし、砲口エネルギーは実に、64メガジュールとなる。レールガンで発射した弾はいったん大気圏外まで打ち上げられた後、GPS 誘導で着弾、その際の速度は音速の約 5倍、マッハ 5 (1.7km/sec) としている。また、砲身ひとつで 3,000 発の発射を可能として、使用後の砲身は艦上で換装可能とする構想もあり、装薬やマガジンを必要としない分だけ艦側のインフラを少なくでき、火災対策の負担も軽減できるとしている。EMRG は、海軍や海兵隊の持つ艦艇における戦闘能力の大幅な向上に繋がるだけでなく、陸軍でも、陸戦用レールガンの開発を模索している。
とはいえ、実際の運用において必要となる莫大な電源の供給や、その設備の構築におけるこれまた莫大なコストをどう賄うかなど、まだまだ課題も多く残っている。
⇒Navy Sets New World Record With Electromagnetic Railgun Demonstration
ACC.DAU.Mil
U.S. Navy 2010/12/10
Naval EM Railgun Innovative Naval Prototype / Office of Naval Research June
2008Electromagnetic Railgun / Office of Naval Research
Office of Naval Research 2010/12
過去の関連記事:
⇒155mm 艦載砲・AGS用LRLAPの試射成功
⇒米海軍、電磁式カタパルトでの戦闘機射出実験に成功
EMRG は、一般的な火砲のような化学推進剤を使用せず、「フレミング左手の法則」でお馴染みの「電流」と「磁界」から発生する物理力、「ローレンツ力」を活用した「電磁投射砲」。2本のパラレルとなった金属レールを砲身にし、電気を流し、発生した莫大なローレンツ力を利用することで砲弾を放出させる仕組み。この仕組み自体は以前より知られていたが、実用化には至っておらず、米海軍では、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦をベースとする次期巡洋艦 "CG(X)" での主砲として採用を念頭に開発を計画。2020-2025 年に就役する予定の CG(X) に実装したいとしてる。
EMRG の大きな特徴の1つは、砲弾を射出する際の圧倒的なパワーで、2010年12月10日に、世界記録 33メガジュールでの射出に成功。この成功により110海里 (約 204km) の遠方射撃を実現可能とした。"EMLF" (Electromagnetic Launch Facility:電磁発射施設)で 8メガジュールの極超音速飛翔試験をおこなう電磁レールガン (写真左)。砲身となるレール内部に電気を流すことで、右ねじの法則によりレールを軸としたコイル状の磁界が形成される。フレミング左手の法則にあるように、ローレンツ力が発生し、砲弾を放出させる。
現在、構想されている最終的な仕様としては、重量 15kgの砲弾を200海里 (約 370km)に放出するとし、砲口エネルギーは実に、64メガジュールとなる。レールガンで発射した弾はいったん大気圏外まで打ち上げられた後、GPS 誘導で着弾、その際の速度は音速の約 5倍、マッハ 5 (1.7km/sec) としている。また、砲身ひとつで 3,000 発の発射を可能として、使用後の砲身は艦上で換装可能とする構想もあり、装薬やマガジンを必要としない分だけ艦側のインフラを少なくでき、火災対策の負担も軽減できるとしている。EMRG は、海軍や海兵隊の持つ艦艇における戦闘能力の大幅な向上に繋がるだけでなく、陸軍でも、陸戦用レールガンの開発を模索している。
とはいえ、実際の運用において必要となる莫大な電源の供給や、その設備の構築におけるこれまた莫大なコストをどう賄うかなど、まだまだ課題も多く残っている。
⇒Navy Sets New World Record With Electromagnetic Railgun Demonstration
ACC.DAU.Mil
U.S. Navy 2010/12/10
Naval EM Railgun Innovative Naval Prototype / Office of Naval Research June
2008Electromagnetic Railgun / Office of Naval Research
Office of Naval Research 2010/12
過去の関連記事:
⇒155mm 艦載砲・AGS用LRLAPの試射成功
⇒米海軍、電磁式カタパルトでの戦闘機射出実験に成功
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