米政府が「EOTech」L-3 Communications 社を「詐欺」で提訴。30 億円超の賠償金で和解。
EOTech 社を傘下に持つ L3 コミュニケーションズ社が米国政府から「詐欺」だとして訴えられ、2,560 万ドル (=約 31 億円) の賠償金を支払うことに合意した。
事の発端は既報の通り、軍・法執行機関オペレーターらに広く浸透している同社のホログラフィック式ウェポンサイト (HWS: Holographic Weapon Sights) が、周辺環境の温度上昇によって、謳われている通りの精度を著しく示さない欠陥を抱えていることが明らかとなり、大きな問題となっていた件にある。
この件については、米特殊作戦軍 (USSOCOM) が警告を発しており、その後に大手のディストリビューターであるエリート・ディフェンス社でもその取り扱いを中止している。
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同社では 11 月 24 日 (火) に和解を発表、同日付けで政府側がニューヨーク州南部地区 (マンハッタン) の連邦裁判所に詐欺を訴えている。訴状には、L3 コミュニケーションズ社、EOTech 社と、EOTech 社の社長であるポール・マンガノ (Paul Mangano) 氏の名も併記されている。(US v. L-3 Communications EOTech Inc., 15-cv-09262)
これを受けて、ニューヨーク市場では L-3 社の株価が 1.1% 下落していることが報じられた。
政府側の主張には、当初の気温に関する問題と同様に、高い湿度環境下においても言及している。また、政府側は、EOTech がこれらの条件の揃った環境において、精度に問題があったことを、実証試験の中で示さなかったことも主張しており、同社に対する不信感を露わにしている。(「欠陥」を既知の上で販売を続けた「詐欺」)
同社ホロサイトを軍で採用して以来、米軍の様々な部隊が、イラクやアフガニスタンなどの高温環境の地域は勿論のこと、ジャングルや山岳地帯、砂漠など過酷な環境を舞台とする戦地に展開している。
また、業界で唯一のホログラフィックサイトを採用した EOTech のホロサイトは、予てより Aimpoint のレッド・ドットサイトと比べて消費電力が高く、そのバッテリーライフの短さに問題を抱えていた。これは、LED ベースであるドットサイトに対し、ホロサイトではレーザーダイオードによる投射システムを採用していることが起因しているとされる。
米特殊作戦軍では、既に EOTech ホロサイトの後継オプティクスの選定作業に移り、5 つの候補が取り沙汰されている。
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Bloomberg 2015/11/25
TFB 2015/11/24
タグ :EOTechホロサイトHWSHolographic Weapon SightsL-3 CommunicationsPaul Manganoポール・マンガノEOTech ホロサイトL-3 EOTech
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