米陸軍が重量・嵩張りを抑え運搬性に優れた『近接戦闘強襲糧食(CCAR)』を開発中

ミリタリーブログサポートチーム

2018年05月30日 13:32


Photo Credit: U.S. Army photo by Gary Sheftick
米陸軍が、新技術の「真空マイクロウェーブ乾燥(vacuum microwave drying)」を使った『近接戦闘強襲糧食(CCAR: Close Combat Assault Rations)』の開発を進めている。
真空マイクロウェーブ乾燥は、元来の風味や質感を味わえるよう、わずかな水分を残しながら真空状態にすることで食材を半分に圧縮するというもの。類似する手法に「凍結乾燥法(freeze-drying)」があるが、こちらは一般的に食べる直前で一端加水の必要がある点で異なる。
こうした特徴を踏まえた上でCCAR最大の利点は、重量・嵩張り共に大きく改善できることが挙げられる。例えば10年前に開発された「ファースト・ストライク・レーション(FSR: First Strike Ration)」が重量・サイズ共に現行MRE(Meals, Ready-to-Eat)の半分であったのに対して、現在開発が進められているCCARの試作品では、MREの1/3の重量となり、サイズにおいては実に76%もの軽減化がおこなわれている。

マサチューセッツ州ネイティックの「陸軍兵士研究開発工学センター(NSRDEC: Army Natick Soldier Research, Development and Engineering Center)」戦闘糧食理事会(Combat Feeding Directorate)は、「歩兵が72時間の任務を遂行するために必要な重量は、CCARの導入によって10%ほど削減されるだろう」としている。
また、限られた容積しかないバックパックの効率化にも寄与することへの期待感も大きく、とりわけ特殊作戦に従事する精鋭兵士に大きな利点となりそうだ。陸軍レンジャーをはじめとした特殊作戦に携わる歩兵は、敵支配地域の奥地への侵入が想定され、兵站面での支援を受けることができない場合がある。その為、武器や弾薬と併せて生命を維持する水や食料を自己運搬する必要がある。


Photo Credit: U.S. Army photo by Gary Sheftick
陸軍は現在までにCCARのラインナップを以下の通り示している。
・タルト・チェリー・ナッツバー
・チェダーチーズ・バー
・モカデザート・バー
・真空乾燥イチゴ
・ナッツとフルーツのトレイル・ミックス
・韓国風バーベキュー炒め包み
・ホウレンソウのパイ
・フレンチトーストパイ
・真空マイクロウェーブ乾燥によって1/3にサイズダウンしたバナナ
CCARのフィールドテストは2020会計年度に予定されており、翌2023年にも陸軍全体への支給が計画されている。

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