アメリカ軍の次世代小銃・分隊支援火器には「デジタル照準器」が装備される

ミリタリーブログサポートチーム

2019年02月22日 13:50


Photo Credit: Erin Usawicz
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2018年の10月以来、各メーカーと試作協議に入っているといわれるアメリカ軍の次世代火器NGSW(Next Generation Squad Weapon)。非常に長い期間に渡って使われたM4小銃はNGSW-Rifleに、ミニミ等の分隊支援火器はNGSW-AR(Automatic Rifle)にそれぞれ置き換えられる予定であるが、このNGSWに使用される照準器について、各種情報を統合して弾道を算出する電子補正方式のものが開発されるという。
現代の歩兵はおおよそ目算で落差やリードを合わせて射撃する。対して電子補正式の照準器は風や大気の状態、銃身の過熱具合など弾道に影響を与える要素をすべて自動で計算し、最適な狙点を表示するものだ。

命中精度の向上によって実質的な攻撃力の向上はもちろん、各種照準器を統合することにより、命中精度向上のためのバイポッドや追加のサーマル照準器などが不要となるため、軽量にできるというメリットもある。

既に狙撃銃ではレーザー測距機と組み合わせた「弾道コンピューター」は一般的なものとなっており、自動小銃向けのものも各国で開発が進んでいる。実現可能性はすでに検証されており、既に「ハッキングによる誤射の可能性」を議論している段階である。

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退役海兵将校で、現在は接近戦攻撃力タスクフォース(CCLTF)のリーダーを務めるジョー・レトワール氏によれば「デジタル照準器は分隊戦術に革命を起こす可能性がある。自分であればこれを装備した部隊と戦いたくない」という。

開発中のデジタル照準器は、こちらも開発中の歩兵向け拡張現実(AR)デバイス、IVASとの連携が計画されている。IVASはヘッドマウントディスプレイの一種で、様々な情報をゴーグルに表示できるようになるが、照準器からの映像も写すことができる。これを用いれば銃だけを遮蔽物から出して照準するということも可能になる。

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レトワール氏は「もしこうしたことが出来るようになれば、スタックなどの突入技術はどのように変化してしまうだろうか?現在の市街地戦で用いられる戦術はどうなってしまうだろうか?」と言う。分隊戦術が大きく変化することは間違いないようだ。

NGSW自体は27ヶ月以内の実射試験開始、IVASは2020年8月に試作終了を目標に計画は進行している。その性能は既に「遠い夢」ではなく、ごく近い将来の話となっている。

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Source: Army's Next-Gen Squad Weapon to Feature Deadly Accurate Fire Control | Military.com

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201902
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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