豪軍特殊部隊 アフガニスタンで一般市民を虐殺した疑いで軍・警察が調査
Photo obtained by ABC
目まぐるしく状況が変化する戦場で誤射がつきものであるが、残念ながら中には法的に正当化されない「虐殺」のケースも存在する。2012年にオーストラリア軍特殊部隊の隊員がアフガニスタンで非武装の一般市民をごく近距離から射殺した事件の調査が進み「常習化」していたこと、部隊ぐるみでこれを隠蔽しようとしていたことが明らかになった。
2020年3月、オーストラリアの放送局ABCは同国特殊部隊SASがアフガニスタンで一般市民を射殺している様子を撮影した動画を入手、これを公開した。
動画は2010年5月12日、アフガニスタンの農村で行われた爆弾製作者を確保する作戦中、K9のハンドラーのヘルメットカムによって撮影されたもの。問題のシーンは以下の動画の34:56から。非常にショッキングなシーンを含むため、閲覧には注意が必要である。
Killing Field: Explosive new allegations of Australian special forces war crimes | Four Corners - YouTube
村の外の小麦畑にヘリから降着した隊員は、上空待機をするヘリの誘導に従い近くにいた男性を確保しにいく。ハンドラーの犬が男性に追いつき、これを引きずり倒すと「隊員C」と呼ばれる一人が近寄り銃を突きつけた。隊員Cは「こいつを殺した方がいいか」とハンドラーや上官に言いざま、回答を持たずに男性を射殺した。
作戦後の聴取において隊員Cは、射殺された男性が手に無線を持っており、脅威となる可能性があったため15~20mの距離から撃ったと証言、問題なしと判断された。
この動画がABCで放映された後、隊員Cは拘禁されたが、調査が進む中で隊員Cは他にも一般市民を射殺していたことが明らかになった。
アフガニスタンの作戦中の「隊員C」とされる豪SAS隊員。
Photo obtained by ABC
2012年3月28日、隊員Cの部隊はカンダハルにある村落のパトロールにヘリで向かった。そして着陸地点から100メートルほど離れた非武装の男性がヘリから遠ざかろうとした際、隊員Cはこの男性を背中から撃ち、射殺した。
その後、この男性にチェストリグをつけさせ武装したテロリストに見せかけた上、デブリーフィングでは「射殺した男性はテロリストの高価値目標であった」として、部隊ぐるみで隠蔽を図った形跡があるという。
事件については現在、オーストラリア連邦警察、そして軍の憲兵総監が調査を進めている。特殊部隊の行動の機密性は高く監視が難しい。それだけに倫理感の高い行動が求められる。政治的に微妙な作戦に従事する彼らへの信頼が問われるところだ。
Source: Fellow soldiers say the SAS operative filmed shooting an unarmed man killed another civilian - ABC News
Video shows Australian SAS soldier shooting and killing unarmed man at close range in Afghanistan - ABC News
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
★この記事へのコメント
コメントを投稿する
★この記事をブックマーク/共有する
★新着情報をメールでチェック!
★Facebookでのコメント