米軍と米警察のマイクロ波兵器事情
US-soldiers at Iraqi (For Illustration Purpose Only)
米軍はより強力な非殺傷マイクロ波兵器を求めている。車両や小型船舶のエンジンを故障させるために使用される当兵器は、米警察や国境警備隊においても使用されている。
このような兵器は「広帯域の対電子機器兵器」に分類され、より小型で軽量な車両および船舶が長距離から車両および船舶のシステムを停止させることを目的として開発が進められている。ラジオ波による車両強制停止装置は既に開発されており、エンジン内の電子機器を破壊することでエンストを誘発させて車両や船舶を実際に停止させることが可能である。これは銃弾を直接撃ち込むよりも効果的であり、作戦中に対象を誤って殺害するリスクも低減させることができる。
一方で、この兵器が軍および警察内でどれだけ普及しているかは定かでない。米国沿岸警備隊は船舶の強制停止のための当兵器の採用を見送る方針であり、米国の軍およびローエンフォースメント(法執行機関)全体に普及するわけではないようである。
また、米軍が現状の技術力および当兵器の性能に満足していないことは確かであり、大きさ・重量・消費電力・冷却時間・製造コストなどで改善を要求している。
現在の大まかな仕様は下記の通り
・体積:4.5 m3
・重さ:450 kg
・製造コスト:1億1000万円(1機あたり)
理想とされる仕様は下記の通り
・体積:0.75 m3
・重さ:23 ~ 45 kg
・製造コスト:550 ~ 1100万円(1機あたり)
米軍は小型かつ軽量の長距離マイクロ波兵器のもつ車両・船舶に対する強制停止能力が重要な戦力になると見込んでおり、国防総省以外(法務省、国土安全保障省など)
でも非殺傷兵器の効果が調査されている。各州のローエンフォースメントにおいても、車両や船舶に対する支援が必要な任務に対してこのような兵器が有効であると考えられている。しかし、上記のような仕様の現状が導入を阻んでいる状態である。
「米警察は何かあるとすぐに殺傷兵器を使用する」という申し立てが相次ぐ中で、マイクロ波兵器のような非殺傷兵器は犯罪・テロへの対抗手段であるだけでなく、犠牲者を最小限に抑えるためにも重要な技術なのである。
松井の所見:
非殺傷兵器の導入が思ったより難航しているようである。率直な感想として、理想とされる仕様が厳しすぎるのではないかと松井は思う。一方で、非殺傷兵器がいかに有効であるとはいえ、予算や車両等の積載が限定される中で運用しなければならない以上は現状の仕様では実用化が困難なように思えるのもまた確かである。とはいえ、他の分野での技術力向上が当兵器の実現に貢献する可能性もある。官民の連携が密になっている米国だからこそ、このような潜在的な可能性が存在するのではないかと松井は考えている。
Source:
The U.S. Military Wants A Better Microwave Weapon. Will The Police Also Use It? - Forbes
Radio Frequency Vessel Stopper - Joint Intermediate Force Capabilities Office
非殺傷兵器の導入が思ったより難航しているようである。率直な感想として、理想とされる仕様が厳しすぎるのではないかと松井は思う。一方で、非殺傷兵器がいかに有効であるとはいえ、予算や車両等の積載が限定される中で運用しなければならない以上は現状の仕様では実用化が困難なように思えるのもまた確かである。とはいえ、他の分野での技術力向上が当兵器の実現に貢献する可能性もある。官民の連携が密になっている米国だからこそ、このような潜在的な可能性が存在するのではないかと松井は考えている。
Source:
The U.S. Military Wants A Better Microwave Weapon. Will The Police Also Use It? - Forbes
Radio Frequency Vessel Stopper - Joint Intermediate Force Capabilities Office
元自衛官・警察官・PSCのYoutubeチャンネル『ガチタマTV』
提供:田村装備開発株式会社
Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
公式ホームページ
サバゲーフィールドT-MOUT
Youtubeチャンネル
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