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ドイツ銃器メーカー「H&K」社が売却。新オーナーは外国籍か

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ドイツ銃器メーカー「H&K」社が売却。新オーナーは外国籍か
Photo from Heckler and Koch (H&K)
ドイツ銃器メーカー「H&K」社の所有者が変わるとして、国内の各紙面を賑わしている。H&Kはこれまで、2/3の株式を保有する大株主、アンドレアス・ヘーシェン(Andreas Heeschen)氏(58歳)が所有していた。
連邦経済エネルギー省が、連邦情報局(BND: Bundesnachrichtendienst)の専門家に依頼し、買収見込み先の調査活動を実施。国内ニュース誌「フォーカス」は、その中のキーマン2名を紹介している。

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1名は、英国ロンドンに本社を置く投資会社「アルケン・アセット・マネージメント社(Alken Asset Management Ltd.)」の創業者、フランス人の『ニコラス・ワレフスキー(Nicolas Walewski)』氏。同誌は「1年以上前にドイツ経済エネルギー省に対して取引の承認申請を提出していた」としている。

またもう1名は、カリブ海のバルバドスに本拠を置くフランス人弁護士『ジェラルド・ルサン(Gerard Lussan)』氏(81歳)。ルサン氏は、コンコルド銀行の取締役であり、パナマ文書によるとオフショア企業との繋がりを通じてアルケンファンドにもリンクしているとのこと。投資家界隈では「億万長者」として知られる人物でもあるようだ。

なおBNDは、ルサン氏を「可能性の低い人物(straw man)かもしれない」と考えているようだ。一方のワレフスキー氏については、主務長官であるウルリッヒ・ヌスバウム(Ulrich Nussbaum)氏との間で、この春に少なくとも1回、会合の席が設けられていたされる。

H&Kは「連邦経済エネルギー省による売却過程は、我が国の外国貿易規定に則り審査されている事実を歓迎する」と答えている。

また自由民主党(FDP)の経済政策部門の広報担当者からは、「我が国の防衛請負業者を外国企業に売却する際には、安全保障構造上のリスクに晒されないよう特別な注意を払わねばならない」と釘を刺すコメントが寄せられている。

H&K社のこれまでのあゆみ
1949年、エドモンド・ヘッケラー(Edmund Heckler)とテオドー・コッホ(Theodor Koch)、アレックス・ザイデル(Alex Seidel)によって産声を上げ、当初「家電製品」や「自転車用の交換部品」の製造を手掛けていた。

当時「武器製造が禁止」されていた敗戦国ドイツだったが、H&K社はその中でも数少ない許可企業として活動。その後、武器製造禁止が解かれ、再軍備が認められて以降、1955年の連邦軍(Bundeswehr)創設時には、晴れて純然たる武器製造事業者へと転換している。

その後1959年から60年代に掛けて、G3、MP5、HK33といったベストセラーを世に送り込み、70年代には「ハンティング・スポーツ部門」「警察・防衛部門」の2事業部門に枝分かれし、続く80年代にビジネスは更なる多様化を歩んでいる。

そして1991年には『ブリティッシュ・エアロスペース(British Aerospace)』傘下の『ロイヤル・オードナンス(Royal Ordnance)』に買収され、その際の組織再編の取り組みが、H&K社の中核事業の復帰を導いたという。
その後2002年になって、アンドレアス・ヘーシェン(Andreas Heeschen)氏とキース・ハルシー(Keith Halsey)氏がブリティッシュ・エアロスペースからH&K社を買い戻している。

直近では、お膝元であるドイツ連邦軍(Bundeswehr)での「G36」リプレイスに伴う次期小銃選定において、H&K社が「最有力候補」とみられるも、その後「装備情報技術運用庁(BAAINBw)」によって『全ての候補落選を決定』と公表されるに至っている。

Source: Statement zur aktuellen Berichterstattung, Deutscher Waffenhersteller Heckler & Koch vor dem Verkauf, Heckler & Koch vor Verkauf an Briefkastenfirma - BND überprüft dubiose Investoren

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