将来型垂直離着陸機計画とは
A compound helicopter design featuring coaxial rotors (For Illustration Purpose Only)
この10年間で最も大きい米軍航空機の開発契約は、空軍や海軍に対するものではなく、陸軍に対するものである。
陸軍は1970年代(またはそれよりも早く)に考案されたヘリコプター部隊に小さな変更を何十年間も加え続け、従来とは完全に異なるものに変貌させることができるよう取り組み続けてきた。
この計画は将来型垂直離着陸機計画と呼ばれ、カイオワやブラックホークといった攻撃力・生存性・コストパフォーマンスを兼ね備えた機体に代わる次世代の回転翼航空機の実現を模索している。
米陸軍は次世代の機体の航続距離と速度が現在運用されている機体と比べてそれぞれ2倍となるよう要求している。これは軍用技術が進んだ現代において、高すぎる要求にはならない。例えば、工業化された現代の世界で運用されている航空隊は”フライ・バイ・ワイヤー”(パイロットの操作をコンピュータ処理を介して動作に変換する技術)によって操縦している。しかし、米陸軍は今もなお機体の操縦を機械的な機構に頼っているため、性能向上の余地は十分にある。
A tilt-rotor design featuring pivoting rotors (For Illustration Purpose Only)
また、米海軍および米空軍はティルトローター技術の開発により、速度と航続距離をヘリコプターの垂直方向の機動力と複合して考えるに至った。一方で、米陸軍はこのような開発を行っていない。そのため、新技術の導入によって機体の大幅な性能向上が見込める。
これらの理由から、米陸軍は次世代のヘリコプターの導入によって戦力の劇的な改善を実現する可能性を秘めている。
米陸軍が導入する可能性のある機体として、ベル社・テキストロン社が開発するティルトローター機のV-280と、シコルスキー社・ボーイング社が開発する同軸複合ローター機のDefiantXがある。どちらの機体も速度・航続距離・機動性・耐久力の向上が十分に見込める。
米陸軍はこれらのような次世代機の開発を促進する理由として、脅威と技術の急速な進歩を挙げている。次世代の航空隊は、地球低軌道上の偵察衛星等との外部戦闘システムネットワークに接続して運用される可能性が高い。米陸軍のヘリコプターもまた、機体性能はもちろんのこと、搭載される電子機器やソフトウェアも含めた性能向上が必要とされている。
将来型垂直離着陸機計画はこれまでの技術革新を全て内包した非常に大きな計画なのである。
松井の所見:
V-22オスプレイは航空機の在り方に革命を起こすのではないかと真剣に考えたことがあった一方で、同軸複合ローター機(掲載画像1枚目)は何がどうしてこうなったのか分からないというのが正直な印象である。ローター径を小さくし、テールローターを廃することができる当機は、ローターを分けないことによる出力損失の低減と艦載機適正の向上が考えられる。また、維持整備の難易度や回転翼のブレ等によるトラブル発生率はどのようになるのか調査する必要がある。
Source: Future Vertical Lift: Army Aviation’s Master Plan For Defeating China And Russia Without Breaking The Budget - Forbes
米陸軍はこれらのような次世代機の開発を促進する理由として、脅威と技術の急速な進歩を挙げている。次世代の航空隊は、地球低軌道上の偵察衛星等との外部戦闘システムネットワークに接続して運用される可能性が高い。米陸軍のヘリコプターもまた、機体性能はもちろんのこと、搭載される電子機器やソフトウェアも含めた性能向上が必要とされている。
将来型垂直離着陸機計画はこれまでの技術革新を全て内包した非常に大きな計画なのである。
松井の所見:
V-22オスプレイは航空機の在り方に革命を起こすのではないかと真剣に考えたことがあった一方で、同軸複合ローター機(掲載画像1枚目)は何がどうしてこうなったのか分からないというのが正直な印象である。ローター径を小さくし、テールローターを廃することができる当機は、ローターを分けないことによる出力損失の低減と艦載機適正の向上が考えられる。また、維持整備の難易度や回転翼のブレ等によるトラブル発生率はどのようになるのか調査する必要がある。
Source: Future Vertical Lift: Army Aviation’s Master Plan For Defeating China And Russia Without Breaking The Budget - Forbes
Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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サバゲーフィールドT-MOUT
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