NEWS

スーパーキャビテーションシップ"Ghost"初公開

海外軍事 Comments(0)
スーパーキャビテーションシップGhost初公開JMS (Juliet Marine Systems, Inc.) は10日付のリリースで、米海軍と USPTO (US Patent and Trademark Office:米国特許商標局) と秘密裏に開発を進めていた Supercavitation(スーパーキャビテーション) の技術を応用した、初の実験艇 "Ghost" を、写真付で 初公開した。

「スーパーキャビテーション」とは、流体力学により説明がなされる効果の1つ。仕組みとしては、ラッパのように先端と末端とで断面積の異なる形状をした物体が、水中などの流体において、高速で移動する場合を想定した場合に、ラッパの広がり部分で "Cavitation" (キャビテーション) と呼ばれる、低圧条件下で発生する局所的な蒸発現象による気泡の発生が生じる。このような気泡の発生する状態を継続的に起こし、流体中の物体の全体を包み込むような状態を維持することで、物体の表面の大部分が濡れないまま保たれることから、流体と物体との摩擦係数を減らすことのできる "スーパーキャビテーション":"超空洞現象" を発生させることができる。これによって、流体中の物体の速度を大幅に向上することができるという考えから、軍事面での応用が進められてきた。

スーパーキャビテーションシップGhost初公開JMS によると、こうしたスーパーキャビテーション技術の応用により、水中で船体の周囲を取り囲む空気の泡が発生することで、最大 900% の摩擦抵抗を減らすことができるとし、摩擦の軽減によって速度の大幅な向上と、燃費の向上に繋がるとしている。

デザインの上で、航空機 と 艦艇 の両側面を持ち合わせる GHOST の開発には、水中での水との摩擦係数にとかく配慮した緻密な船体の設計が必要となり、構築までに何百回もの造り直しをおこなったとしている。
また GHOST の船体にはステルス性を備えた設計となっており、敵のレーダーやセンサーでの検出は極めて困難であるとしている。

今回公開された GHOST のプロトタイプは、SEAL のチームを収容する大きさで設計し、C-17 による空中輸送が可能であるとしている。

なお同リリースによると、GHOST の主な用途としては、艦艇などを対象とするフォース プロテクションを想定しているが、海賊対策にも応用可能と説明し、他の防衛関連企業と組んで、もっと大型の艦に、このテクノロジーを適用する構想があるとしている。

Juliet Marine Systems 2011/8/10
Aviation Week 2011/08/15
Nikkei Science 2001/06/25


同じカテゴリー(海外軍事)の記事画像
DJI Mavic3カタログスペック解説 Cineモデルとの違いとは?
【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?
ドローンがウクライナ侵攻で果たす役割とは
アメリカがウクライナに10Km先のターゲットを狙えるUAVを供給か
ドイツ企業が新型の空挺装甲車の開発を開始
ロシアの2つの艦艇向け新型対空防御システム
同じカテゴリー(海外軍事)の記事
 DJI Mavic3カタログスペック解説 Cineモデルとの違いとは? (2022-06-07 14:29)
 【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ? (2022-05-05 19:21)
 ドローンがウクライナ侵攻で果たす役割とは (2022-04-08 16:46)
 アメリカがウクライナに10Km先のターゲットを狙えるUAVを供給か (2022-03-26 13:10)
 ドイツ企業が新型の空挺装甲車の開発を開始 (2021-08-08 11:54)
 ロシアの2つの艦艇向け新型対空防御システム (2021-08-06 16:57)
この記事へのコメント
コメントを投稿する

この記事をブックマーク/共有する

この記事をはてなブックマークに追加

新着情報をメールでチェック!

ミリブロNewsの新着エントリーをメールでお届け!メールアドレスを入力するだけで簡単にご登録を頂けます!

[入力例] example@militaryblog.jp
登録の解除は →こちら

PageTop