NATO の欧州聯合軍最高司令官・James Stavridis 米海軍大将 に成り済ました、ニセの FaceBook アカウントを使って、その人脈に関する情報が詐取されたことが英紙を中心に一斉に報道されている。NATO では、昨年末にJames Stavridis最高司令官 の偽アカウント情報をキャッチ、その後 FaceBook 上での削除を終えたとしているが、事件の公式確認は 3月9日(金) であったとしてる。James Stavridis 大将 は、昨年のリビアのカダフィ政権崩壊を監督した大モノ人物で、FaceBookを積極的に活用していることで知られる、と紹介。英紙 Daily Mail によれば、英国上層部と国防省当局者が問題の "FaceBook" からの「フレンド・リクエスト」を受け入れたとし、機密ファイルへのパスワードに不正アクセスされた可能性を指摘している。
英国各紙 によれば、事件の背景にはこの手の事件のもはや常習犯として名前の挙がる国家・「中国」が後押ししたとされる「個人」の存在を掲載。「北京」からの操作を示しているとするも、現在のところ肝心の NATO からは公式に中国の関与については触れられていない。

また、英紙・Daily Mail では、英国の防衛産業大手 BAE Systems が中国によって不正アクセスされた、と掲載。中国による BAE Systems のコンピューターシステムにおける脆弱性を狙ったサイバーアタックは、3年ほど前からおこなわれていたと見られている。攻撃によって 多国籍防空プログラム、第5世代戦闘機 として世界からも注目を集める F-35 JSF (Joint Strike Fighter) の詳細に関係する一部情報が盗まれたとしている。
F-35 の開発に当たっては、Lockheed Martin が主体となっておこなうものの、開発コスト低減のため、一部を BAE Systems が請け負っていた。
最新鋭ステルス戦闘機 F-35 の情報を入手により、中国は、現在開発中のステルス戦闘機 殲20 へ活かすことが懸念されている。
日本の航空自衛隊でも F-35A の導入が予定されており、産経新聞では今回の疑惑が事実であれば、日本の空の防衛を担う次世代機の優位性が崩れる恐れがある、と掲載。
一方、ロシアでは中国の J-20 開発状況について、「中国は誇らしげに J-20 (Mighty Dragon) に関する情報を配信しているが、中国は手詰まりにある」としている。その背景には中国がロシアから購入する、ロシア製の軍用ジェットエンジンや補修パーツの重要性を掲げ、中国のノウハウ不足を指摘している。とは言え、中国も世界の中心にのし上がるべく、最新鋭戦闘機に必要となる APAA (Active Phased Array Antenna) や、超音速巡航用のエンジンなどの、極めて重要な軍事技術のノウハウ獲得に躍起となっていることは、国境を面する国々の不安を払拭できないでいる。

最近の軍事情勢で最もホットなキーワードの1つ「サイバー・ウォー」について、軍事面での成長が著しい中国の暗躍を懸念すべく、米軍需メーカーのノースロップ・グラマン社による中国のサイバー戦能力に関する報告書が 8日、米諮問機関の米中経済安全保障調査委員会で発表されていた。

Daily Mail 2012/03/11
Sankei Shimbun 2012/03/11
Russia Today 2012/03/11
Record China 2012/03/12
Space Daily 2012/03/08
Photo: F-35A from Lockheed Martin Official flickr