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米大学研究チーム、タコの皮膚に倣った光学迷彩シートを開発中

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米大学研究チーム、タコの皮膚に倣った光学迷彩シートを開発中
上位の捕食者の危険を身近に察知した際、一瞬にして周囲の環境に溶け込むよう、自らの皮膚を変色させて危険回避をおこなうタコに倣った電気迷彩マント (Electronic Camouflage Cloak) の開発が進められている。

米国科学アカデミー紀要 (PNAS: Proceedings of the National Academy of Sciences) 上で掲載され、その後ナショナルジオグラフィック上で詳報された。

米ヒューストン大学とイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のチームにより開発されたこの光学迷彩シートは、シートの一部に光の照射を感知した場合、それに応じて色味を変色させるというもの。公開された映像中には、ライトのスポットを浴びたシートの箇所が、選択的に黒から白に変色している様子が収められている。

これは頭足動物 (cephalopod) の皮膚に含まれる色素細胞 (pigment cell) の仕組みに倣ったもので、タコだけでなく、ツツイカ目のイカや、コウイカなどにも当てはまる。
過去の関連記事:
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頭足動物の皮膚は 3 層構造で構成されている。「色素保有細胞 (chromatophore) 」と呼ばれる一番上の層は、着色嚢 (sacs of coloured pigment) で皮膚表面の筋肉群によって大きさをコントロールし、その色味を変化させることで異なる表面パターンを創り出している。続く「虹色素胞 (leucophore) 」を含む中間層では、細胞が周囲の環境にある色味を反映させる役割を担い、最後の一番深い層では、白色素胞 (leucophore) を含んでおり、他の色味の背景となるよう白色の光をあらゆる方向に拡散させる役割を持っている。

また、頭足動物の皮膚にはヒトの目の網膜にも含まれる「オプシン」と呼ばれる感光性分子 (light-sensing molecules) が含まれている。これそのものがどのような働きをしているかはまだはっきりとは分からないものの、皮膚で光を「見る」ことができ、これをトリガーにして複雑な適応能力を発揮していると考えられている。

SF 作品のような夢の技術は、現在のところ開発はまだ初期段階に過ぎないが、強ちそう遠くない将来に軍事利用される日が来るのかもしれない。

PNAS 2014/08/14
National Geographic 2014/08/18
Discover Magazine 2013/09/13
Ed Yong 2014/08/18
Embed Image: Walla Walla University


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