超極薄・軽量ボディーアーマーの実現へ向け、米大学研究チームが「グラフェン」によるシートを使った強度試験を実施
世界最薄・最軽量のボディーアーマーの研究が進められている。カギを握るのは「グラフェン (graphen) 」という素材の持つ「引張応力 (tensile strength) 」の特性。
グラフェンは、炭素原子とその結合により、蜂の巣のような六角形格子 (ハニカム) 構造を持つ原子 1 個分の厚さのシート (単層膜) で構成される。
原子レベルという究極の薄さにも拘わらず、高い導電性と熱伝導性に加え、機械的強度にも優れた稀有な素材として、様々な次世代製品への応用の可能性を持つことから、世界中の研究者らの注目を集めている。そして本稿に関する運動エネルギーへのストッピングパワーは鉄の 10 倍に及ぶと言う。
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ライス大学で材料科学を研究している Edwin Thomas 氏と、マサチューセッツ大学アマースト校の Jae-Hwang Lee 助教授らの下、グラフェンを使った軽量の防弾アーマー研究が進められている。
グラフェンによる複数レイヤーのシートを使った小規模試験では、一度に重ねられたレイヤーは最大で 300 層にも及んだものの、単一のグラフェン自体が炭素原子 1 個で構成されていることから、シートのトータル的な厚みは僅かに 10 ~ 100 ナノメートル (1 ナノメートル= 10 億分の 1 メートル) の範囲に収まるとのこと。
研究チームは、微小球体を弾丸として使い、ハイパワーライフルにおける銃口速度の 2 倍以上となる、秒速 3,000 メートルに及ぶ超高速で、グラフェン製シートに向けて射出するテストを実施。
グラフェンシートには、予め用意されていた次世代版の技術を投じたものが使われた。グラフェンシートは弾丸の衝撃により円錐状に変形、シートの引張応力を超えた後に放射状の亀裂が入って破裂している。綺麗な穴が開いたというのではなく、花びらのような形状をしていることから、グラフェンシートが持つ引張応力の高さが示された結果となっている。
実用化を見据えた場合、亀裂が入ったこと自体には問題があるが、グラフェンシートのレイヤー数を増やすことや、セラミックプレートなどでの補強により解決を見出すことができると考えられている。
Rice University 2014/12/01
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