米特殊作戦軍、負傷者救護の新たな薬物療法の開発においてオーストラリア大学研究チームに資金提供

これは、JCU が 11 月 26 日付のプレスリリースで発表したもので、同大学で新設された熱帯保健医学部門 (THM: Tropical Health and Medicine) の Geoffrey Dobson 教授と Hayley Letson 研究員らの活動に対して 550,000 ドルの資金供給がおこなわれていることを指している。
イラクやアフガン戦争では、87% の負傷兵が負傷後 30 分以内に死亡しており、処置施設のある場所に搬送する猶予の無いことが明らかになっている。また、これらの 4 分の 1 に当たる 1,000 名ほどの負傷兵士については、処置までに要した時間によっては、生存できた可能性が指摘されている。
Dobson 教授によれば、問題はひどい失血と脳損傷を引き起こした際、兵士の体と脳とでは、処置の扱いが正反対に異なる点にあると言う。つまりこれは、血圧を高めると出血を促進させてしまい失血死を招くことを意味し、またその一方で、血圧を低く抑えることにより、脳は回復できない致命的な損傷を受けてしまう点にあるという。このように、失血と脳損傷は諸刃の剣な関係の上で成り立っていることが指摘されている。
そこで JCU のチームでは、時間の経過と適切な血圧に着目し、二段階のステージを経ておこなう処置方法を開発。最初の処置では負傷後、数分以内で頭部損傷と脳内出血から負傷者を救い、その後の処置で安定化を図るよう設計されているとのこと。ここで投与される薬液は、血や骨髄の中で素早く広がり、炎症や血液凝固による障害を防ぎ、また全身のエネルギー消費を低減させるとのこと。
FDA (Food and Drug Administration: 米食品医薬品局) の承認に向けた臨床試験が 1 年以内にも行われる予定で、その後、緊密な関係を持つ西側諸国の特殊部隊での導入や、戦場以外にも民間の救護活動のシーンも見据えているとのこと。
James Cook University 2014/11/26
Photo: Capture screen shot from DVIDS
Image is for illustration purposes only.
タグ :James Cook Universityオーストラリアbattlefield casualtiescombat casualtiesSurvival Window戦闘負傷特殊部隊head trauma
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