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ステルスブラックホークを投入?米陸軍特殊部隊デルタフォースによる IS 幹部夜間襲撃作戦が成功

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米軍最精鋭特殊部隊の 1 つ、陸軍特殊部隊デルタフォースによる IS (イスラム国) 幹部を狙った夜襲が決行され、その作戦が成功裏におわったことが明らかとなった。

これは、バラク・オバマ米大統領の命の下、5 月 15 日 (金) の夜から翌 16 日 (土) 朝に掛けておこなわれた夜間襲撃作戦で、ターゲットとなったのは、IS 幹部の 1 人、アブ・サヤフ (Abu Sayyaf) 容疑者とその妻、ウム・サヤフ (Umm Sayyaf) 容疑者。ホワイトハウスのバーナデット・ミーハン(Bernadette Meehan)報道官によると、アブ・サヤフ容疑者は IS の主要な収入源である石油密売をはじめ財務部門を担当していたとのこと。

この作戦でクルド系少数宗派ヤジディ (Yezidi) 教徒の若い女性 1 人の保護も確認されている。なお、妻のウム・サヤフ容疑者は、この女性の奴隷化に加担していた嫌疑が掛けられており、現在イラクで収監されている。作戦では、アブ・サヤフ容疑者の捕縛を目指していたが、同容疑者は射殺されている。
ステルスブラックホークを投入?米陸軍特殊部隊デルタフォースによる IS 幹部夜間襲撃作戦が成功
Image: Zero Dark Thirty (film)
Jonathan Olley (c) 2012 CTMG. All rights reserved
Image is for illustration purposes only.
夜襲作戦で発生した交戦により、1 ダース (12 名) ほどの武装勢力について殺害が公表されている。交戦について AP 通信では「現場には女性や子供が居たものの、一般市民の巻き添えは無かった」とのこと。なお、これについてはカーター国防長官も「今回の作戦で米軍側の死傷者は無かった」と発表している。

ステルスブラックホークを投入?米陸軍特殊部隊デルタフォースによる IS 幹部夜間襲撃作戦が成功
※リンク先のマップ上にあるピンは、詳細位置を指しているわけではありません。
CNN によると、作戦がおこなわれたのは IS が首都と定めるシリア北部の都市「ラッカ (Raqqa) 」から車で南東に約 2 時間ほど走らせたところにある北東部の都市、デリゾール (Deir Ezzor) 県内の住宅地。

ミーハン報道官は「米特殊部隊はイラク政府の同意の下、イラク内の基地から出動した」と公表している。
ステルスブラックホークを投入?米陸軍特殊部隊デルタフォースによる IS 幹部夜間襲撃作戦が成功
U.S. Air Force photo/Capt. Bryan Purtell
Image is for illustration purposes only.
また、国防総省関係者は AFP 通信のインタビューに対し、「陸軍特殊部隊デルタフォースのメンバーが、ブラックホークヘリコプターと、ティルトローター機オスプレイを使って、アブ・サヤフ容疑者の屋敷に降り立った」と語っている。

今回の作戦について公式情報筋からは、襲撃部隊の人数や構成についての詳細は明らかにされていないが、使用された少なくとも 1 機のブラックホークヘリコプターが IS 側の銃撃により被弾しているとのこと。

なお、米軍によるシリア国内で隠密下におこなわれた急襲作戦は今回が初めてでは無く、過去には米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー (James Foley) 氏救出作戦が実行されたが、こちらは失敗に終わっている。

また、今回の作戦について興味深い考察が、David Cenciotti 氏の著名な航空情報サイト The Avionist に掲載されている。それによると、今回の作戦が 2011 年 5 月 2 日にパキスタンのアボッタバードで Osama bin Laden 容疑者を急襲した「Operation Neptune Spear (海神の槍作戦) 」と並べて紹介。作戦で使用されたステルスブラックホークを引き合いにし、今回の作戦でも使用されていたのでは?とする副題で掲載している。

この推測に当たっては、米国の独立月刊誌 Homeland Security Today (HST) を情報ソースとしている。HST によると、今回の作戦は非常にリスキーなものであったとし、IS の支配が及ぶ奥地へデルタフォース隊員らを送り込むに当たって、陸軍第 160 特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ (Night Stalkers) 」が装備するステルス性を備えたブラックホークヘリコプターの投入が推測されると掲載している。(オスプレイは空軍の特殊作戦仕様 CV-22)

また、それを裏付けるものかは定かでは無いが、シリアの独立報道機関 ARA News は 5 月 14 日、ローカル情報筋をソースとして、シリア北東部のハサカ県で 2 機の国籍不明ヘリコプターが低空で飛行する姿が目撃されたと報じ、その際の様子を収めた写真を掲載している。なお、同県はシリア内戦の最激戦区「アレッポ」から 494 キロメートル離れており、今回の作戦がおこなわれたとするデリゾールからは 179 キロメートル離れた場所で、イラク北部からトルコ東南部、シリア東部にかけて広がる地域である。

Stars and Stripes 2015/05/16
AFP via Defense News 2015/05/17
The Avionist 2015/05/17
Homeland Security Today 2015/05/16
ARA News 2015/05/14

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