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米国内務省 土地管理局による迷彩技術に関する研究レポート

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米国内務省の土地管理局が迷彩技術に関する研究レポートを掲載した。これは風光明媚な土地での景観を損なわない配慮など、軍事目的とは異なる視点でおこなわれた、延べ 11 年に渡る研究レポートで、カナダの迷彩開発企業 HyperStealth Biotechnology Corp (ハイパーステルス社) の CEO である Guy Cramer 氏も協力している。本レポートは、カラーパレットを使った色の組み合わせや、遠近の距離感によってテクスチャの使い分けをおこなう研究など、写真やイラストを多用しており、英文を読まずとも迷彩技術の開発について分かり易い資料となっている。
こちらの存在を視覚的に相手に気付かれないようにする「迷彩技術」の発展は、ミリタリーシーンに欠かす事の出来ない存在だ。今日の迷彩技術のルーツは美術分野から発展したもので、その最初の事例は 1889 年にまで遡る。当時、米国とスペインとの間で起きた米西戦争 (Spanish-American War) が勃発しており、アーティストの Abbott A. Thayer 氏が艦艇に施した模様が最初の事例とされている。

In part through Thayer's influence, disruptive coloration was widely used for military camouflage during World War I, especially for merchant ships (it was called ‘dazzle painting’) because it made it harder for German submarine (U-boat) gunners to accurately aim their torpedoes. Shown here is an American dazzle-painted ship, c. 1918. Author's collection.
その後、1914 年に勃発した第一次世界大戦では「ダズル迷彩 (dazzle camouflage or dazzle painting) 」が用いられており、当時の迷彩は今のような「隠す」ことではなく、艦種や艦艇のサイズの他、その移動速度や進行方向などの把握を困難にし、敵の攻撃による決定打を受けないことが狙いだったとされる。

そして、第二次大戦下では迷彩に対する要求が高められ、周囲に溶け込ませ、見え難くする性能が問われるようになる。これは艦艇だけでなく、兵士の着用するユニフォームや航空機の他、様々なヴィークル類にも全般的に求められるようになっている。この頃の迷彩アプリケーションにおいては、現代の迷彩技術にも通じる手法が持ち込まれており、景色の中にある特徴的な「光」や「影」のパターンを、カラーコントラストを用いることで、軍事的に重要な施設の外観を打ち壊し、発見され難くすることが目的となっている。

そして現在、軍用迷彩はそのルーツであった美術分野から抜け出し、技術の根拠を「科学」や「精神物理学」の舞台へと移している。それにより、更に効果の高い迷彩技術が開発されている。

1970 年代には、Timothy R. O'neill, William L. Johnsmeyer 両氏により設計された Dual-Texture Gradient Pattern (Dual-Tex) に基づく、マクロとミクロの異なる 2 つの大きさのパターンで構成し、見る者の視覚形態を崩すことができる、フラクタルやピクセルに代表される迷彩が 30 年以上に渡ってミリタリー分野で研究されている。また、近未来に向けた迷彩技術として、透明マントのような光学迷彩の開発も日夜研究が進められている。

Department of the Interior (DoI) Bureau of Land Management (BLM) 2015/04

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この記事へのコメント
かつて航空自衛隊が隊舎の外壁を薄い緑色に塗装した時、それを見た陸上自衛隊は「随分と綺麗な色にしたね」と皮肉を言っていましたが、あれは上空から見た場合、草地が太陽光の反射で意外に薄い緑色になると言う研究の成果でした。その一方で自衛隊の車両のOD色は北日本の針葉樹林を想定した色なので広葉樹の比率が高い西日本から九州・沖縄では迷彩効果が低いと断ぜざるを得ません。かつて地域単位の整備基準の策定を提案したことがありましたが、平時の車両管理と言う発想しか持たない輸送幹部には受け入れられませんでした。
Posted by 航空陸戦隊指揮官・森の要注意 | at 2019年10月11日 11:15
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