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21世紀の戦略・戦術偵察機

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冷戦時代、アメリカとソ連は、競うように核兵器・核ミサイルを開発して敵に対する攻撃力を高めていったが、その一方で高高度を飛行し、敵国内を偵察する戦略偵察機の開発も行っていた。アメリカ軍の戦略偵察機として名をあげられるのは、SR-71ブラックバードであり、さらにU-2ドラゴンレディである。

ワシントンで行われた空軍協会理事会(Air Force Association conference)で、ロッキード社は、次世代戦略・戦術偵察機「TR-X」の完成予想図を発表した。ロッキード社は、UQ-2およびRQ-Xという呼称で、U-2の後継機として発表していたが、開発責任者のスコット・ウィンステッドによると、この名称・概念の変更は、戦術会議の後、より戦術性を高めたため、名称が変わったという。戦術会議では、戦略偵察よりも戦術偵察を重視しているというのだ。

「TRは、戦術偵察用航空機を指し、今まさに我々が開発を推進している機体で、戦術偵察のプラットフォームです」。

ウィンステッドによると、新型戦術偵察機は、従来のU-2のような戦略偵察よりも、戦術偵察に特化した期待であるため、高価な機体ではなく、特別な目的がない限り、専門技術を持った搭乗員を必要としないそうである。また、従来の戦略偵察は、2-3機のローテーションにより、24時間体制の偵察を行っていたが、次世代偵察機は、25-30機ほどで編隊を組んで作戦を行う計画である。これにより、人員の負担が大幅に軽減される。
現在、アメリカ軍は、17機のU-2と21機のグローバルホーク(Global Hawk・・・GH)を保有し、U-2偵察機5機とGH 3機の編隊で運用している。ウィンステッドによると、現行GHの航続時間は34時間であるが、実際の運用は22時間程度だという。それならば、ダウンサイズした機体で十分運用できるそうで、これがロッキード社が提唱する集中的戦術偵察(sweet spot in tactical reconnaissance)なのだそうである。

この次世代偵察機は、主に空軍向けの偵察機であり、CIAなどの諜報機関には納入される予定はない。2025年には空軍に納入する予定である。
新型機は、高度7万フィート(約21336m)を飛行する低可観測(low-observable)航空機であり、エンジンは、現行U-2と同じ出力を持つゼネラル・エレクトリックF118を使用する。これは、空軍の要請によるもので、新型センサー、通信システムに対応するため出力と冷却を向上させ、さらに攻撃・防御的レーザー兵器も使用できるようになっている。

Lockheed Martin 2015/09/16
Text: 友清仁 - FM201509

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