シリアでダーイッシュ (IS) に鹵獲されたロシア特殊部隊員の装備
2016年3月18日頃 ダーイッシュの公式アカウントが歴史的建造物があるパルミラ近郊にて戦死したロシア特殊部隊員が所持していたと思しき武器・装備をインターネット上に公開した。
Photo: Russian SOF equipment captured by IS in Syria / ARES
この動画では、ロシア連邦軍制式採用突撃銃である AK-74Mをカスタマイズしたものであり、CAA社製のハンドガードとチューブストックに換装(同社のハンドガードとチューブストックはロシアの各特殊部隊員も愛用していることが多い)サプレッサーを装着し、IWT 336 Tsiklop (‘Cyclops’) サーマルサイトを備え、銃器本体・マガジンも迷彩塗装していることが確認できる。
また映像では医療キットも拡大して映しており、全てロシア語で書かれている。この他にもロシア製の IMP-2金属探知機も確認されており、この軍事顧問の出自がロシア人であることを伺わせる状況証拠が揃っている。
今のところはこの特殊部隊員の戦死について、ロシア当局は何もコメントをしていない。しかしロシアの特殊部隊がパルミラ近郊で確認されており、彼もその一員ではないかと推測できるものである。この後シリア政府軍の猛攻とロシア連邦軍の支援により、ダーイッシュはパルミラ遺跡を放棄し撤退した。
このパルミラ攻略作戦において、一つの悲劇的なニュースが全世界に駆け巡ったことを追記しておきたい。3月24日 パルミア攻略作戦の最中、ロシア航空宇宙軍機に爆撃目標指示の任務に従事していたロシア特殊部隊員がダーイッシュに包囲され、自分ごと爆撃する様に要請し、その命の通りの戦死を遂げたという。その後遺族の希望によるものなのかこの英雄的に戦死した特殊部隊員の名前が、ロシアの地元マスコミを通じ公開された。
彼の名前はアレクサンデル・プロハレンコ (Александр Прохоренко) 氏、享年25歳。ロシア参謀本部直轄の特殊部隊で、特殊作戦軍に所属していたことも判明している。
この悲報前に3月23日、国営紙『ロシア新聞』のインタビューを受けたシリア作戦責任者であるドヴォルニコフ中央軍管区副司令官は、シリアで特殊部隊が展開していることを認めている。
Photo: Александр Дворников (Aleksandr Dvornikov) / Wikimedia Commons
副司令官の言葉によれば
「シリア領内では我が特殊作戦軍の部隊も活動していることを隠すつもりはない。彼らはロシアの航空部隊にために攻撃目標を選定したり、航空機を攻撃エリアに誘導したり、その他の特殊な任務に従事している」
と、シリアで特殊作戦軍が活動していることを認めているため、今回の故 アレクサンデル・プロハレンコ氏の情報公開も早かったものと推測される。仮にこのインタビューがされなかった場合は、プロハレンコ氏の詳細な悲報も公開されなかった可能性が高かっただろう。
関連記事:
⇒「2/27 は特殊作戦軍の日」。ロシア国防省が公式トレーラーとアルバムを公開
ARES (Armament Research Services Pty. Ltd.) 2016/03/18
RG.ru 2016/03/23
Text: WT83 - FM201604
タグ :ロシア特殊部隊ダーイッシュDaeshISシリアAleksandr Dvornikovアレクサンデル・プロハレンコAlexander ProkhorenkoАлександр Прохоренко
★この記事へのコメント
コメントを投稿する
★この記事をブックマーク/共有する
★新着情報をメールでチェック!
★Facebookでのコメント