「ローン・サバイバー」の SEAL 隊員は 200 名のタリバン戦闘員と交戦していない。アフガン人救助者が新証言

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「ローン・サバイバー」の SEAL 隊員は 200 名のタリバン戦闘員と交戦していない。アフガン人救助者が新証言
Photo: Capture screen via CBS NEWS
米 Newsweek 誌が、元 Navy SEALs 隊員:マーカス・ラトレル(Marcus Luttrell)氏を助けた村人:モハメッド・グーラブ( Mohammed Gulab )氏の近況報告と共に、映画「ローン・サバイバー (Lone Survivor) 」の原作となった回顧録「アフガン、たった一人の生還」の一部の記述に偽りがあるとする、インタビュー内容を報じている。記事には、ラトレル氏保護から現在の生活に至るまでの経緯が細かく記されている。
「ローン・サバイバー」の SEAL 隊員は 200 名のタリバン戦闘員と交戦していない。アフガン人救助者が新証言
Photo: Courtesy of U.S. Navy
SEALs prior to Operation Red Wings (L to R): Matthew Axelson, Daniel R. Healy, James Suh, Marcus Luttrell, Eric S. Patton, Michael P. Murphy
グーラブ氏は、2005年アフガニスタンのレッド・ウィング作戦( Operation Redwing )に参加し重傷を負っていた当時現役の Navy SEALs 隊員:ラトレル氏を、「困っている人を助ける」という村の教えに従って保護した。しかしその後、グーラブ氏はターリバーンに狙われることとなり、村に留まるのが不可能となった。米軍などの援助受けながら各地を転々とするが、ターリバーンが執拗に追い続けるためアメリカ政府に助けを求めた。2010年9月に漸く念願が叶い、単身アメリカへ渡りラトレル氏との再会を果たした。その際、ラトレル氏はグーラブ氏がグリーンカードを取得できるように働きかけると申し出たが、母国を離れる準備が出来ていないことを理由にアフガニスタンへ帰国してしまう。
ラトレル氏は、帰国したグーラブ氏と村人に対し合計4万3千ドル以上の援助を行った。平穏な日々を送るかと思われたが、2012年にグーラブ氏の甥がターリバーンに殺害されてしまう。訪米以来、両者はアフガニスタンの仲介者を通して定期的に接触を持っていたが、両者共に時々言葉の障壁に失望しだす。

関連記事:
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2013年夏に映画「ローン・サバイバー」のプロモーション活動に招かれたグーラブ氏は、ラトレル氏と数ヶ月間行動を共にし、その期間中に同映画を3回鑑賞した。著書の成功を切っ掛けに起業家としてスタートしたラトレル氏は、アフガニスタンに残してきた家族のことを案じるグーラブ氏に対し、グリーンカード取得の件も含めて今後も援助を惜しまないと話した。しかし、映画がヒットしたことでグリーンカードの取得が困難な状況となり、ラトレル氏は亡命者保護を求めることをグーラブ氏に勧めたが、帰国する意思は揺るがなかった。

米滞在期間中の終わり頃、グーラブ氏は通訳者に翻訳してもらった回顧録「アフガン、たった一人の生還」を初めて読み、書かれている内容の幾つかが事実と異なることに気付いた。

●作戦のターゲット:アハマド・シャーの民兵は、ラトレル氏ら SEALs がヘリコプターで夜間に山中へ降下したことを知っていた。
●翌朝、民兵らは山の捜索を始め、SEALs が山羊飼いと接触しているのを発見した。
●民兵らは、山羊飼いが居たことで銃撃をためらい、山羊飼いが離れる機会を待ち銃撃を始めた。
●銃撃戦は直ぐに終わった。村人の誰もが、山から聞こえるその発砲音を耳にしていた。
●ラトレル氏が保護された時、携帯していた11個のマガジンは未使用のままだった。
●アハマド・シャーは重要幹部ではなく、ターリバーンの中でも8~10人程度の小さな組織のリーダーだった。
● SEALs を攻撃した民兵は80~200人だったと予測されているが、実際は8~10人程度だった。交戦中を捉えた民兵のビデオカメラ2台が証明している。
●50人以上を射殺したとなっているが、後に現地で戦死者捜索をした村人と米兵は、民兵の犠牲者をひとりも発見できなかった。

ラトレル氏にこの事を、米CBSテレビのドキュメンタリー番組「60 Minutes」(両氏が出演し2013年放送)のインタビュー前に指摘すると激怒したようだ。

参考動画:CBS News 60 Minutes「 How an Afghan and a Navy SEAL became "brothers" 」

「60 Minutes」出演後、ラトレル氏はグーラブ氏と会わなくなった。やがて、映画と本のために利用されたのではないか?とグーラブ氏は思い始める。
映画が世界的に認知されたことが災いし、帰国後も幾度となくターリバーンからの警告と襲撃を受けた。警告の中には『おまえが米兵を助けなくても、いずれは米国との人質交渉で解放されただろう。村の教えは否定しないが、問題は米兵が異教徒だったことだ。』というものもあったようだ。
ターリバーンに怯えながら、映画と本に関する利益分配や亡命者保護手続きなどに翻弄され続けたが、ラトレル氏以外の協力者たちに助けられ、現在は米テキサス州フォートワースで家族と共に暮らしている。
グーラブ氏は『ラトレル氏を助けたことは後悔していない。しかし、映画を助けるためにしたことは後悔している。いつの日か、彼が真実を話すことを願う。』と語った。同じ国に居ながら、ラトレル氏とは現在も再会していない。

尚、グーラブ氏の事実と異なるとする指摘に対して、ラトレル氏の弁護士は「著書や公演スピーチなどで語られた内容に虚偽は無い」と主張している。

Text: 弓削島一樹 - FM201605

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この記事へのコメント
戦争は、行けないな
Posted by あ | at 2024年10月25日 20:20
遅ればせながら先程この映画を見ました。
なるほど、真実は違うのですね。確かに捕らえたタリバーン兵の解放の仕方から少し違和感はありました。

ともあれ、両者が再び手を取り合うのを願うばかりです。
Posted by 通りすがり | at 2019年01月12日 17:02
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