アメリカ空軍の無人宇宙往還機X-37Bが6回目の打ち上げ ミッション内容の一部が初めて明らかに
アメリカ空軍とボーイングが開発した無人宇宙往還機・X-37Bが5月16日に6回目のミッションを開始すべく、ケープカナベラルから打ち上げられる。X-37Bが宇宙で何を行っているのかこれまで謎に包まれていたが今回はミッションの一部が紹介されており、話題となっている。
X-37BはNASA、アメリカ空軍、国防総省DARPA、ボーイング社が共同で開発した無人宇宙往還機。機体の目的として宇宙機開発に必要な技術開発や、宇宙環境での各種試験などが謳われているが、その具体的な内容はこれまでほぼ明らかにされていない。
X-37B三面図。スペースシャトルの約1/4ほどのサイズとなっており、飛行特性もよく似たものである。
Photo from Wikipedia
5回目となる前回は無重力・真空環境での電子機器の放熱に用いるASETS-II自励振動型ヒートパイプの長期試験がなされたと報道されたが、他にも軍用衛星の軌道投入を行ったなどの噂がある。
4回目のミッションから帰還したX-37B。作業員は有毒なスラスター燃料から身を守るべく防護服を着ている。2つ目のエンジンノズルが見当たらないが、このミッションで新型のイオンエンジンを搭載し、その試験を行ったためと言われる。
Photo from U.S. Air Force
往還機としてはミッションがかなり長期間に渡るのも特徴で、4回目には717日、5回目に779日間軌道に滞在している。何らかの耐久性を調べる実験を行っているものと見られる。
今回の打ち上げに向けて、アリアンVのフェアリングに搭載されるX-37B。機体後部にサービスモジュールが搭載され、より多くの実験が行えるようになるという。
Photo from Boeing
今回のミッションにおいては、空軍士官学校の士官候補生らと空軍研究所が開発・制作した人工衛星FalconSat-8が搭載され、運用にも士官候補生達が参加する。またNASAは宇宙放射線への長期間の曝露が試料や種子に与える影響を調べる実験を行う。長期間の宇宙飛行には欠かせないデータが測定される。海軍研究所は太陽光のエネルギーをマイクロウェーブに変換し、地上の受信装置に向けて照射して電力供給するマイクロウェーブ送電実験を行う。これが実用化されれば前線基地や無人船舶など、補給が難しい対象にもエネルギーを供給できるようになるという。
月への有人飛行をピークとした往年の宇宙開発ブームとはまた違った形での盛り上がりを見せている宇宙開発。民間事業者の躍進が目覚ましい一方、アメリカ宇宙軍は今回のミッションに管制・運用で参加するなど、軍事色の強い進出もまた目立ってきており、宇宙の軍事利用への注目度の高さが伺える。
Source: Next X-37B Orbital Test Vehicle Scheduled to Launch > United States Space Force > News
Air Force Academy satellite to launch aboard X-37B Orbital Test Vehicle > United States Air Force Academy > News Display
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
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