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『SIG P320』落下暴発で集団代表訴訟。ドイツ本国は自主回収で3,500万ドル(約39億円)の下方修正を計上

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『SIG P320』落下暴発で集団代表訴訟。ドイツ本国は自主回収で3,500万ドル(約39億円)の下方修正を計上
Screenshot from Omaha Outdoors YouTube channel
米国の大手銃器メーカー、シグ・サワー(SIG Sauer)社が、人気ピストル製品『P320』の「落下暴発(drop fire)」によって『集団代表訴訟』の提起に直面している。
米シグ社のお膝元であるニューハンプシャー州の公共ラジオ局が伝えた。
P320を巡る落下暴発については、2017年8月に何度かの投稿に分けてご紹介してきた通り。当時、オンライン銃器販売のオマハ・アウトドアによる検証映像が公開されている。テストには異なる口径、サイズ、使用頻度のP320が合計4丁使用されたが、これらの条件に関わらず暴発が再現されていた。そしてアングルさえ合っていれば、75cmの高さから落下しても暴発したことが示されている。奇しくもその翌日にシグ社は自主的にアップグレードパーツの提供を発表している。

関連記事:
「P320は安全」か?ダラス市警での使用停止騒動を受け有志が落下テストを実施、シグ社はプレスリリースを配布
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原告のダンテ・ゴードン(Dante Gordon)氏は、テキサス州の連邦裁判所で先月、「シグ社のP320ピストルは、落下暴発のリスクを伴っており不合理に危険だ」と訴えた。「XM17のトライアル中であった陸軍は、2016年4月の時点で落下による潜在的な危険性があることを認識していた」「シグ社は軍納入を決めるため、軍用バージョンのP320には必要な修正を加えたが、民間バージョンには安全ではないことを知りながらも、その後16ヶ月間に渡って販売を続けた」と糾弾している。

ラジオ報道によれば、提訴に踏み切ったゴードン氏自身は暴発によって何らか怪我を負ったわけではない。シグ社が潜在的な欠陥を知りながらも、その事実を公表せずにいたことで購入者を傷付けたとし、P320の全ての購入者を代表して「集団代表訴訟」を求めている。

なおこれまでに法執行関連の従事者においては、①コネチカット州スタンフォードの警察官がP320を落下させて左脚を負傷し、その後の民事で和解した事例の他、②フロリダ州オーランド警察のSWAT隊員がホルスターごと落下させ脚を撃ち抜いた一件や、③バージニア州ラウドン郡の保安官代理がホルスターから取り出そうとしたところ引き金に触れていないにも拘らず暴発し重症を負った件など、少なくとも3名の負傷が明らかとなっている。

ドイツの親会社は財務報告書の中で、2017年に米国内でおこなわれた一連の自主回収によって、3,500万ドル(=約39億円)の下方修正を計上している。

Source: Sig Sauer Faces Potential Class Action Suit Over ‘Drop Fire’ Issue with Popular Pistol

※2019/3/7 18:27 ご指摘により、「ドイツの親会社」に記載を訂正しました。

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