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デルタフォースが人質奪還に初成功した「アシッド・ギャンビット作戦」30周年

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デルタフォースが人質奪還に初成功した「アシッド・ギャンビット作戦」30周年第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊、通称デルタフォースは、世界で最も有名な部隊の1つでありながらその全容は未だ明かされていない部分がある。アメリカが有する特殊部隊の中でも随一の打撃力を誇る彼らであるが、その実力を得るまでには長い道のりがあり、人質奪還作戦に成功したのは創隊から実に10年も経ってからであった。

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デルタフォースは1979年、対テロ戦闘部隊の必要性の高まりに応じて、英国特殊部隊SASをモデルに作られた。しかしながら初陣である1980年の「イーグル・クロー作戦」は記録的な大失敗となるなど前途多難であった。

軍事作戦においては、部隊を運用する諸々のシステムが整っていなければならない。デルタフォースは求められるレベルに対し、それを支援する作戦企画や兵站といった機能に不足があった。

その後もグレナダにおける「アージェント・フューリー作戦」において、総軍事司令部があったフォート・ルパートでの重要人物の勾留と、政治犯が収容されていたリッチモンドヒル収容所の解放という2つの任務を、第75レンジャー連隊と当時は「タスクフォース160」であったナイト・ストーカーズと共同で行ったものの、後者には失敗している。

そして30年前の1989年12月19日、デルタフォースは人質奪還作戦を初めて成功させた。パナマの実質的な支配者であったマヌエル・ノリエガ最高司令官を排除し、同国におけるアメリカの国益を保護する「ジャスト・コーズ作戦」、その裏で行われた「アシッド・ギャンビット作戦」である。

アメリカ市民、後に反ノリエガ運動を支援するラジオ放送を主導していたCIA工作員と判明したクルト・ミューズをパナマ市内シティのモデロ刑務所から救出するという作戦に、4機のヘリに分乗した23名のデルタ隊員が参加した。

作戦は刑務所の屋上に着陸し、そこから監視塔の見張りを牽制しつつ、アサルター達が屋内につながるドアを爆破し突入、2階にとらわれていたミューズを救出しヘリで脱出するというものだった。1名はミューズが捉えられている部屋の窓の外にロープで降下しミューズを処分しにくるであろう守衛を警戒していた。

湿気によって爆薬のテープの粘着力が弱まるというトラブルがあったものの、突入からわずか6分で部隊はミューズとともに脱出。ヘリは銃撃を受け墜落するが、部隊は近辺の建物に潜伏しつつ上空のガンシップにストロボでシグナルを送り、付近を通りかかった第5歩兵師団の装甲車で脱出することに成功した。

この作戦にはラリー・ヴィッカーズもアサルターとして参加しており、その時の様子をディスカバリー・チャンネルのドキュメンタリーで証言している。番組は自身のYouTubeチャンネルで公開されている。
Combat Zone: Rescue in Panama featuring Larry Vickers - YouTube

ヒット・アンド・ランの単純な作戦ではあるが、パナマ運河の空母やガンシップとの連携には陸海空軍全部隊との調整をせねばならず、ミューズの投獄された位置や刑務所内部の詳しい情報を得るには高い情報収集能力が必要であった。また狭い屋上に正確・迅速に部隊を送り込むためには、ナイト・ストーカーズのような高度な操縦能力を有する部隊を育てなければならなかった。

参考:
アメリカ陸軍「ナイト・ストーカーズ」創立35周年を祝って動画が公開 - ミリブロNews
AC-130H「ウィックド・ワンダ」が退役 - ミリブロNews

この成功の裏側には「イーグルクロー作戦」の手痛い失敗からわずか10年でここまでのシステムを作り上げた当時のアメリカ軍のシリアスさ、冷戦という環境の厳しさが垣間見えるのである。

Source: 30 year anniversary of Operation Acid Gambit | Connecting Vets

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM202001
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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