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アメリカ陸軍が約6億ドルを投じて大規模地下施設での戦闘能力を整備

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Photo by US Army
歴史上、トンネルなどの地下施設での戦闘やそれに特化した部隊は珍しいものではなく、例えばベトナム戦争で北ベトナムゲリラのトンネルを捜索した「トンネル・ラッツ」や最近ではアフガニスタンの洞窟を急襲した特殊部隊がある。そして現在、アメリカ陸軍は一般部隊に大規模地下施設での戦闘能力を与えつつある。
現在、アメリカ陸軍は5億7千200万ドル(約640億円)の予算を投じ、旅団規模の戦闘部隊が地下施設で活動するための研究・訓練を行っている。こうした任務はいわゆるSOCOM隷下の特殊部隊が遂行するものであった。しかし直近の政治的緊張から予測される戦場、例えば北朝鮮の核施設やミサイル基地、韓国領への地下トンネルなどへの対処は膨大なマンパワーが必要となる。都市部での戦闘となれば下水道網や地下鉄といった抑えるべき施設はさらに大規模になり、一般部隊の投入が必要になる。

Photo by US Army

地下施設での戦闘は地上の屋内戦闘とは似て非なるものである。GPSの電波が届かないので位置の把握が難しくなり、また連携行動にかかせない無線通信も困難になる。Persistent Systems社のMPU-5スマートラジオのように、メッシュネットワークを構築して地上に通信を中継する手段が必要になる。

また、地下施設では通路そのものも問題になる。狭い通路にバリケードを作られた場合にはブリーチングの手段が必要になるし、逆に遮蔽物がない通路では身を隠せないため、前進には防弾シールドが必要になる。

Photo by US Army

また、まったく光のない場所では通常のパッシブ方式暗視装置を使用できない。ENVG-Bのようにサーモグラフィーの映像を重ねて表示できるデバイスが必要になる。

Photo by US Army

閉鎖環境ではガスマスクは必須の装備になる。またそもそも酸素が存在しない場合に備えて、呼吸器も必要だろう。こうした装備は著しく視界を制限するため、これを使いこなす訓練も施さなければならない。

Photo by US Army

かように地下施設での戦闘は簡単なものではない。陸軍では現在の装備・訓練で何が可能で何ができないのか現在の装備で何が出来るか、何が足らないのか
2017年に4ヶ月をかけて研究・検証し、マニュアルTC 3-20.50「地下環境における小部隊訓練」を制作した。1993年のFM 90-10-1「歩兵のための都市部での戦闘ガイド」をブラッシュアップしたものになる。

これをもとにして、2019年はじめまでに合計で26から31の旅団戦闘団が都市圏の地下にある大規模地下施設での戦闘に対応できるよう訓練・装備更新が進められている。現在までに、アラスカ、ハワイ、韓国、ワシントン州で計5つの旅団戦闘団が準備を完了しているという。

もっとも「大規模地下施設を有する都市圏での戦闘」が発生するような事態、つまりロシアや中国の主要都市での戦い、あるいはアメリカ本土の都市での防衛というのが有りうる想定なのかと疑問を呈する声もあり、今回の計画が軍需産業への予算投入のための政治的なデモンストレーションではないかという批判もある。いずれにせよ今後砂漠やジャングルばかりが戦場になるわけではないのは確かで、そのための対策は、規模の大小はともかく必要になるだろう。

Source: Army Is Spending Half a Billion to Train Soldiers to Fight Underground | Military.com

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201807
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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