米陸軍が次世代「手榴弾」を開発へ。2020年に「MK3A2(衝撃手榴弾)」の後継となる「XM111」にリプレイスを計画
昨年9月にお届けした、米陸軍の次世代手榴弾「改良型戦術用多目的(ET-MP: Enhanced Tactical Multi-Purpose)手榴弾」の続報に当たる記事が、大手軍事情報サイトであるアーミータイムズによって報じられている。
Photo Credit: U.S. Army
関連記事:
⇒米陸軍ピカティニー・アーセナルが次世代手榴弾「ET-MP」ハンドグレネードを開発
M67手榴弾を例にしてみても、配備が進められた1968年以来、米軍の直面してきた戦闘シーンは、現在までに多くの点で様変わりしているが、こと手榴弾については、特に大きな変化が無く現在に至っている。
Photo Credit: Jesse M. Glass
しかし一方で、多くの兵士から「M67手榴弾は限られた地形で限界がある」「改良すべきだ」という声が上がっている実情がある。
それら現場の声を筆頭に、陸軍が取りまとめたところ、希求される手榴弾は、「安全」で且つ、戦況によって「致死性」を高めた手榴弾であることが垣間見えてくる。この一見すると相反する仕様にも思えるものについては、使用する状況や環境を見定め、その威力を調整するような意味合いが含まれている。
例えば、意図的ではない状況下においては起爆し難く、森林地帯のように背の高い植物で覆われた場所などでは破片を強く拡散できる…そのような仕様がその具体的な運用事例となる。
Photo Credit: Cindy McIntyre, Fort Sill Tribune
手榴弾を「衝撃手榴弾(blast grenades)」と「破片手榴弾(frag grenades)」で大別した場合、その特性は異なっており、衝撃手榴弾が破片ではなく爆発時の衝撃波でダメージを与えるのに対して、破片手榴弾(=攻撃型手榴弾)は厚い金属ケースに収められた爆薬がケースを破砕し、それらを散らすことで敵に危害を与えることにその特徴を持つ。
陸軍は最終的に、「衝撃」or「破片」と手榴弾の特性をスイッチ1つで簡単に切り替えられるような仕様とする計画を持っている。陸軍の火器研究開発センター (ARDEC: Armament Research, Development and Engineering Center) とフォートベニングの高等機動センター(MCoE: Maneuver Center of Excellence)によって現在開発が進められているこの「多目的手榴弾(multipurpose grenade)」は、2020年代後半から2030年代前半に掛けて日の目を見るような長期計画となっている。
なお陸軍によると、アスベストの危険から1975年に使用が中止されていた「MK3A2(衝撃手榴弾バージョン)」の後継モデルに位置付けられる「XM111」なる新型手榴弾が、2020年の配備に向けて開発が進められているとのこと。
Photo: Mk3A2 Offensive Grenade via PM CCS
★この記事へのコメント
コメントを投稿する
★この記事をブックマーク/共有する
★新着情報をメールでチェック!
★Facebookでのコメント