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米軍エリート部隊が模索する多様性

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米軍エリート部隊が模索する多様性
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 米海軍はこれまでSEAL(米海軍の特殊部隊)の隊員候補を自ら探しに行く必要はなかった。熱心な志願者が選抜試験に殺到していたからである。しかし、そのほとんどは白人である。

 現在、米海軍特殊作戦コマンドの統括者はこの現状を変えようとしている。より多様な国の出身者から特殊部隊を構成しようとしているのである。

 海軍特殊作戦コマンドの指揮官は「我々は志願者の募集において受動的であった。より多様性を重視した方針に変えなければならない。」と述べている。

 一方で、米陸軍もまた、同じような試みを始めている。その最たるものとして、米陸軍特殊部隊の募集条件の緩和がある。これには、在職期間や階級だけでなく、新しい専門チームを創設することによって多様な専門性をもつ人材を募集する取り組みもある。

 このような活動の背景には、米軍ひいては米国が過激派の人種差別主義者や白人至上主義者によるヘイトクライム(人種・宗教等を理由とした犯罪)がある。各軍は過激派との戦いについてを訓練や教育プログラムに組み込むことで、軍内部の多様性に対する認識を変えようとしている。

 特殊作戦コマンドの指揮官クラスは、軍全体から見ても特に多様性に欠ける傾向がある。数年にも渡る過酷な特殊作戦訓練を通過する人材は全体の数%程度であるとはいえ、多種多様な特技を持つ人材は多様性に富んだ特殊部隊に繋がると考えられている。

 2021年3月の時点では、海軍特殊舟艇チーム(SWCC: SEAL and combatant-craft crew)の隊員の内、95%は白人であり、黒人は2%に留まっている。また、陸軍特殊作戦部隊の将校の内、87%が白人であり、2%が黒人である。

 新隊員については多少の多様性が見られる。SEALやSWCCの新隊員の内、84%が白人であり、2%が黒人であるが、この他に先住民族の家系やアラスカ州特有の民族など様々な人種の新隊員が入隊している。一方で、陸軍特殊部隊の新隊員の内、黒人の割合は4%程と少し高くなっている。

 米陸軍特殊部隊の募集条件が緩和されたことで、選考基準は変更していないにも関わらず、志願者数は20%増加した。募集条件の緩和と同時に様々な人種・階級・職域のリクルーターを配置したことによって募集がしやすくなったとの見方もある。

 今後、米海軍および陸軍の特殊作戦コマンドは選抜方法および訓練課程の再考などを経て、より多様な候補者を募集すると同時に、多様な専門性を活かした作戦の高度化を目指していく方針である。
松井の所見:
 米軍は公式では非政治性を貫いていると発表しているが、実際は社会問題に対して敏感な反応を示しているように見える。多様性が叫ばれている現代において、部隊員と指揮官のどちらもこの問題に直面しているようである。しかしながら、軍人(部隊員と指揮官の両方)の中でも、職務に対するモチベーションや従事したい任務が大きく異なるのではないかと松井は考える。民間企業と同じように、明確な目的を持って努力する人材とそうでない人材が混在しているのではないだろうか。特殊部隊の志願もまたこの影響を強く受けるのであれば、どうすれば全軍人が熱意をもてるのだろうか。これもまた困難な問題であると私は考える。

Source: US military’s elite commando forces look to expand diversity - AP News


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Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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