米陸軍主力戦車エイブラムスの今後
Abrams tank (For Illustration Purpose Only)
軍用技術の世代交代の最中にある米陸軍は世界的に知られたいくつかの兵器の交換を行う予定である。
有名なものとして、ブラッドレー歩兵戦闘車やブラックホークヘリコプターといった歴史ある”旧式の”システムが挙げられる。一方で、米陸軍はごく少数のシステムに対し永続的な採用を認めることについても言及している。これらのシステムは今後も交換は行われない方針である。該当するシステムのリストの最上位にある米陸軍の象徴的な兵器はM1A2エイブラムス(主力戦車)である。
当戦車は1976年からクライスラー・ディフェンス社(現:ジェネラルダイナミクス社)による本格的な開発・製造が始まり、1980年に米陸軍で正式採用された。その後、海兵隊等でも採用が決まった。
正式採用時、この戦車が40年後も就役しているとは誰も思っていなかった。しかし、継続的な改修の成果もあり、エイブラムスは初期型のものよりも遥かに強力で生存性の高いものとなって現在に至っている。
結果として、エイブラムスは地上作戦の中核となる能力を維持しているように思われる。ロシアなどの戦力が拮抗した相手との戦闘において、このような戦車なしでは歩兵が生存できないと考えられているからである。
この事実の大部分は、ハイテク兵器・無人航空機・デジタルネットワークを組み合わせた戦術が従来の全ての重装甲兵器を廃止へ追いやると主張する学者や技術者には最早通じない一方で、正確な攻撃が可能な現代の敵勢力に対し、機動力のある戦車は他の兵器では不可能な方法で敵の攻撃から身を隠すことができることもまた事実である。また、占領した地域に潜伏した敵勢力を打ち倒すために投入された友軍に対して強力無比な防御力を提供することも可能である。
しかし、エイブラムスが投入され始めた時期に多くの専門家が予期できなかったことは、デジタル技術が非常に優れた状況認識能力、加害力および適応性を戦車にもたらしたことである。
米陸軍はこの技術を活用し、エイブラムスの性能向上を複数回に渡って行ってきた。例として、最新型のエイブラムスはFLIR(前方監視型赤外線装置”Forward Looking Infra-Red”)センサーシステムによって探知・識別・照準の範囲および精度が大幅に向上し、煙幕や霧の中でも敵の探知が可能となっている。
また、次の開発サイクルにおいては、次世代のセンサーによって全方位(360°)の状況認識が可能となり、反応装甲によって様々な対戦車弾に対処し、新しい自動装填機構によって乗員の負担削減とともに軽量化を実現する見込みである。このように、デジタル技術の革新によってエイブラムスの更なる性能向上が絶え間なく可能となっている。
米陸軍の主力戦車は1980年代の頃よりも格段に多用途化している。エイブラムスは今後も改修され続け、近年現れている他の軍用技術革新の中で生き抜くことが期待されている。
松井の所見:
現代技術によって一度優位性が失われたかのように思われた兵器群が新たな技術力を得て再登用されるのは、今まで弱点とされていた部分が克服されたのと同時に、搭載設備による多用途化が実現した結果である。投入される数に変化はあれど、主砲と装甲以外にも様々な優位性を付与された現代の戦車は、長距離打撃兵器や自律型兵器が投入されている現代の戦闘においても自軍および友軍を守る頼もしい存在としてあり続けるだろう。
Source: Army Signals The Abrams Tank Is Here To Stay - Forbes
Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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★この記事へのコメント
アメリカ空軍のA10も同じでは無いでしょうか。
Posted by
MMC
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at 2021年06月21日 07:11
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