軽量で耐衝撃性に優れた戦闘ヘルメットへの応用に期待、ハニカム構造に着想を得た「NS Honeycombs」
衝撃吸収と原型回復に特徴を持つ、ハニカム構造に着想を得た新たなデザインが開発された。今後、自動車製品や軍用ヘルメットなどの耐衝撃性を要する製品開発のシーンにおいて、大きな技術革新がもたらされる可能性を秘めていると言う。
ハニカム (honeycomb) 構造とは、その名の通り「蜂の巣」の構造を指した正六角形が整然と並んだ構造のこと。その物理的構造から、軽量で、高強度、高剛性を持ち、表面積が広く、衝撃吸収性が高いと言った優れた性質を持っている。そうした特性を活かし、軍用装備品をはじめ様々なハイテク製品にも利用されてきた。
正六角形がこうした特性を持つのは、平面を覆うことのできる正多角形の中で、最も効率よく広い面積を補完できる点にあり、転じて「少ない材料で、大きな重さに耐えられる」特性に繋がっている故となる。
Image by Military Blog
今回発表のあった開発を手掛けているのは、米テキサス大学オースティン校のコックレル工学科の研究チーム。「ネガティブ剛性ハニカム (Negative Stiffness (NS) Honeycombs) と呼ばれているこの新たな構造は、一般的なハニカム構造にある正六角形の構造に代わって、横梁と並行壁が密集したその格子状に特徴を持つ構造となっている。
この NS ハニカムにインパクトが加えられ、全体がコンパクトに圧縮されたとしても、力強く元の状態に戻される効果を持っている。ナイロン製のもので試されており、特にその素材が要因となっているわけでは無く、構造としての効果が示されている。
なお当該開発チームは 2014 年に、国防総省から中小企業技術革新研究プログラム (SBIR: Small Business Innovation Research) による助成金を受けており、米軍向け装備の開発を手掛けている企業 MAPC (Maritime Applied Physics Corporation) とのコラボにより開発をおこなってきたことが示されている。
チームでは次なるフェーズとして、バリスティック試験に供することを見定めており、今秋にも、NS ハニカム構造を用いた戦闘用ヘルメットの試作品を作成したいと考えている。
UN News 2015/06/15
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