ボストンを拠点とするスタートアップ (新興企業) である Bounce Imaging (BI) 社が、球体形状をした偵察用のカメラをリリースした。

「エクスプローラー (explorer) 」と名付けられたこのカメラは、ソフトボール程の大きさで、厚いラバーで覆われており、6 つのレンズを持ったカメラと、LED ライトによって室内の様子を遠隔のスマートフォンに送信することが出来ると言うもの。

Photo: Bounce Imaging official FaceBook

本体が起動している際には、数秒毎に 6 つ全てのレンズでスナップ撮影がおこなわれる。これらのレンズが捉えた画像はソフトウェアが統合し、遠隔にいるオペレーターの手元ではフルパノラマ画像として確認できる。

目下の用途としては、敵の潜む室内へ投げ込み、中の様子を偵察することにあり、警察などの法執行機関オペレーターでの運用を見込んでいる。

Explorer [basic version] (Left) / Explorer [tactical edition] (Right)

エクスプローラーのベーシックバージョンでは、室内へ投げ込んだ際に周囲を照らす為の白色 LED ライトを搭載しており、価格は 1,495 ドル (＝約 18.4 万円) 。一方、警察での利用を見込んだタクティカルモデルでは、近赤外線 LED を搭載しており、価格は 2,495 ドル (＝約 30.6 万円) となっている。いずれも BI 社の通販サイトで米国内およびカナダに向けて販売中。

Photo: Throwbot® XT / ReconRobotics

手投げ式の偵察用カメラの発想は今回が初の試みでは無く、過去には、軍用に開発された「スローボット (throwbot) 」なるものがある。これはホイールが転がることによって自発的に移動できるロボットで、兵士が遠隔操作することで、敵脅威の潜む空間を隈なく捜索することができるというもの。一方の「エクスプローラー」では、本体に独自の電源を持っておらず自律的に動くことはできない点で用途が異なる。

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エクスプローラーの開発を手掛ける Bounce Imaging 社は、名門・マサチューセッツ工科大学 (MIT: Massachusetts Institute of Technology) の卒業生メンバーを中心とした企業で、ボストン地域に居住する MIT の卒業生が中心となり、MIT 発のベンチャーを支援する VMS (Venture Mentoring Service) という組織の支援により 2012 年に発足している。

MIT の卒業生で BI 社の CEO 兼 CTO を務める Francisco Aguilar 氏が、2010 年に発生したハイチ地震に触発され、当初はファーストレスポンダー (第一応答者) 向けに開発が進められている。その後、2012 年におこなわれた新興企業を盛り上げる役割にある、ボストン最大のアクセラレータープログラムである MassChallenge にて見事グランプリを獲得、賞金 50,000 ドルが贈られている。このグランプリ獲得によって注目を集めて以降は、警察関係からのリクエストが増加し、同社では開発ターゲットを法執行機関分野に見定めるようになっている。

こうした背景の下で現在は、100 機のエクスプローラーが警察署に配備される予定にあるとのこと。また将来のモデルにおいては、放射線や温度、一酸化炭素センサーが追加される計画にあるという。

Massachusetts Institute of Technology (MIT) 2015/06/26