U.S. Marine Corps photo by Cpl. Steven Fox/Released

米海兵レイダー協会・基金 (U.S. Marine Raider Association and Foundation) は、8 月 26 日から 29 日の期間にテキサス州サンアントニオで開催された年次イベントの席で、レイダースの戦史を回顧しその功績を祝った。

1941 年 12 月 7 日 (現地時間) 、日本軍による真珠湾攻撃をきっかけに米国が第二次大戦へ本格的に参戦する。時の米大統領、フランクリン・ルーズベルトは、英軍の「ブリティッシュ・コマンドス (British Commandos) 」をお手本とした、新たな部隊の創設に関心を抱いていた。(「コマンドス (commandos) 」は、ボーア戦争時に運用されていた「急襲部隊 (raiding party) 」を意味するポルトガル語に由来を持っており、武装と機動力、奇襲攻撃 (hit-and-run) に特徴を持つ戦士の集団を指している)

General Thomas Holcomb, 17th Commandant of the Marine Corps

1942 年、慎重な検討が重ねられた後に、第 17 代海兵隊総司令官トーマス・ホルコム (Maj. Gen. Thomas Holcomb) が「レイダース」を選抜。同年 2 月 16 日にメリット "レッド・マイク" エドソン (Merritt "Red Mike" Edson) 中佐率いる第 1 レイダー大隊が、続く 2 月 19 日にはエバンス・カールソン (Evans Carlson) 中佐率いる第 2 レイダー大隊が発足。2 個大隊の創設がおこなわれた。(階級はいずれも当時)

Major General Merritt Austin Edson (L) / Brigadier General Evans F. Carlson (R)

当時、両大隊には隊を率いたエドソン、カールソン両中佐の方針を反映した分隊構成が敷かれた。エドソン大隊 (第 1 レイダー大隊) では、分隊長を筆頭に、2 名のブローニング BAR M1918 自動小銃手と、4 名のスプリングフィールド M1903 小銃手、1 名のスナイパーといった従来型の 8 人構成による分隊を基本としている。一方の、カールソン大隊 (第 2 レイダー大隊) では、トンプソン・サブマシンガン、BAR、M1 ガーランドといった武装で、従来の慣習にとらわれず、分隊長の直下に 3 名× 3 つのファイヤーチームを配置した 10 名による分隊を構成している。

当時のレイダー大隊は、既に今日の特殊作戦部隊との類似点を多く持っていたとされ、①難攻の浜辺に対する大規模な水陸両用作戦を展開し上陸の先陣を切り、②敵を驚愕させる速い展開での急襲を仕掛け、③長期間に渡って敵陣背後でゲリラ的に作戦を展開するといった 3 つの任務遂行を掲げていた。

Photo via USMC Camp Lejeune, NC

1942 年 8 月、第 1 レイダー大隊がソロモン諸島のツラギ島に、その後第 2 レイダー大隊がガダルカナル島に上陸。タシムボコに展開していた 1,000 名から成る日本軍に対して捜索・破壊ミッションを実施。急襲を受けた日本軍は防衛ままならぬ状況下で敗走し、火砲などが破壊されている。

これを皮切りに、レイダー大隊は 1944 年 1 月までにおこなわれた太平洋上の主だった作戦の殆ど全てに参戦している。この僅か 1 年半足らずの間に、7 個の議会名誉勲章 (Congressional Medal of Honor) と 141 個の海軍十字章 (Navy Cross)、330 個の銀星章 (Silver Star Medal) を獲得し、その猛烈な戦果が示されている。

時は流れ、2015 年 6 月、海兵隊の特殊部隊 MARSOC (Marine Corps Forces Special Operations Command) 隷下の部隊に「Raiders (レイダース) 」の名称がもたらされ、その改称記念式典が実施された。そして迎える来年、2016 年 2 月 24 日は、MARSOC 創設 10 周年を刻むメモリアルイヤーとなる。

MARSOC 2015/09/18
MARSOC: U.S. Marine Corps Special Operations Command by Fred Pushies / Google Books
British Commandos / Military Intelligence Service War Department 1942/08/09