米陸軍の「XM25」 計画が本格始動。2017 会計年度で 1,000 万ドルの予算を要求
IHS Jane's Defence Weekly は、米陸軍の「XM25 遮蔽標的対処交戦 (CDTE: Counter Defilade Target Engagement) システム」の計画について、2017 会計年度の中で優先順位をもって正式に始動したことを伝えた。
XM25 は、1990 年代中盤に陸軍で始まった、降車兵における火力の有効性を高めることを掲げた「OICW (Objective Individual Combat Weapon) 」から分岐した戦闘武器プログラムの 1 つ。低率生産された XM25 は評価試験の役割でアフガニスタンで投入されている。
現場の兵士の間での評価は良好であったが、2013 年におこなわれた実地訓練の中で、ダブルフィードに起因した作動不良が発生し射手が負傷。その後、国防予算の制限も相まって、一度は開発中止に追い込まれた経緯を持っている。
その後、昨秋に「改良版の XM25 が翌春にも試作資格認定試験へ進む」とし、弾薬と統合部分を Orbital ATK 社が、火器管制システム部分を L-3 社、ライフル本体部分は H&K 社と、それぞれが特徴を活かして開発を手掛けていることが報じられている。
XM25 Specifications関連記事:
• Caliber: 25mm
• Semi-automatic
• Weight: 14 pounds
• Length: 30.3 inches
• Magazine: 5 rounds
• Optic: Fully integrated day/night full-solution target acquisition/fire control
• Range: 500 meters point target/600 meters area target
• Construction: Lightweight material composites
⇒米陸軍向け改良版「XM25 エアバースト・グレネードランチャー」が来年春にも試作資格認定試験 (PPQT) へ
また、IHS Jane's をソースに報じた TFB (The Firearm Blog) は XM25 について、現在陸軍で使われている M203 や M320 40mm グレネードランチャーとの射程距離の違いを挙げて紹介。M203 が 375メートル、M320 でも 400メートルの最大射程距離であるの対して、XM25 は有効射程距離が 500 メートル以上 (最大射程距離は 1,000 メートル超) となり、現行のこれらグレネードランチャーの射程が短いことを強調している。
Photo: XM25 Counter Defilade Target Engagement System (CDTE) / Orbital ATK
そして現行グレネードランチャーの射程範囲の短さは、アフガニスタンでタリバンとの戦いを繰り広げている米兵のパトロールにとって、致命的な欠点と成り得ることを挙げ、PKM 軽機関銃などを使ってアウトレンジから攻撃を仕掛けてくる実戦現場を紹介している。
また、XM25 は「遮蔽標的対処交戦システム」の名称にもあるとおり、遮蔽物の裏側に潜む敵を発射された擲弾の空中爆発によって削ぐことが出来るため、その絶大な威力には引き続き期待が寄せられている。
この期待の表れについては、軍事ニュースサイト Breaking Defense でも大きく取り上げられている。
Photo: Family of 25mm Ammunition / Orbital ATK
同サイトでは、近未来戦闘装備の専門家のコメントとして、第二次大戦における三大危険兵種に「爆撃機乗員」「潜水艦乗組員」「歩兵」が挙げられていたことを例に紹介。その後の様々な技術革新の恩恵に預かり、前者の 2 兵種においては、危険度の低減が実現されたが、歩兵においては未だに敵と銃を向け合って撃ち合いをおこなうといった、古典的な戦闘が続いているとし、XM25 の実現は「歩兵にとって第二次大戦以来で最大の変化」だとする見出しで評価している。
冒頭の IHS Janes によると現在陸軍は、1,000 万ドル (=約 11 億 3,000 万円) 近くを次年度予算として要求し、以降 1,500 万ドル、2,500 万ドル、3,200 万ドル、2,600 万ドルと、2021 年までの年次財務要求が示されている。
Graph: XM25 funding in $ Millions per year
IHS Janes 2016/02/09
TFB 2016/02/29
Breaking Defense 2016/02/24
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